SCORE CARDBACK NUMBER

平成生まれが世界へ。U-17W杯出場の意味。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

posted2006/09/28 00:00

 わずか数時間前に、しびれるような試合が終わったばかり。この原稿を今、シンガポールのホテルで書いている。AFC・U―17選手権、準々決勝で、U―16日本代表はイランを破り、ベスト4進出を決めた。この結果、来年韓国で開かれる、U―17ワールドカップへの出場権を手にしたのである。

 試合そのものは、決して満足いくものではなかった。14分に先制したまではよかったが、その後、重心は次第に後ろへ。チーム立ち上げから掲げてきた、「人とボールが動くサッカー」は影を潜めた。82分にはついに追いつかれ、延長を含めた120分間、我慢の連続だった。

 監督の城福浩が、「神様が助けてくれた」とまで言ったPK戦。先攻の日本が外せば、後攻のイランも外す。11人目まで、互いに同じパターンできれいに○×が並んだ。イラン12人目のキックがクロスバーを叩いたとき、約3時間に及んだ激闘にようやく決着がついた。

 若いうちに世界を経験することの重要性は、いまさら言うまでもない。地理的に強豪と真剣勝負をする機会が少ない日本にとっては、なおさらである。にもかかわらず、U―17世代では最近2大会、世界大会に出場できずにいた。

 アジアを突破するために何が必要か。城福は過去のU―16代表監督の体験から、様々な情報を収集した。出した答えは、「スキルの正確性を高める」。いわば、“日本人の特徴を生かしたサッカー”で、アジアの壁を突き崩したわけである。

 3大会ぶりの大仕事を成し遂げた、平成生まれの少年たちは1年後、待望の世界を経験することになる。だが、城福はこう付け加えることを忘れなかった。

 「ここにいる21人が1年後、世界大会に出るときにメンバーに残れるかどうか。そのくらいに底上げをしていきたい」

 世界大会という目標ができたことで、これから1年間、世代全体が高いモチベーションで練習や試合に臨むことができる。そのことが1年後のU―17ワールドカップだけでなく、3年後のU―20ワールドカップにもつながっていく。

 何も世界大会は、出場した選手ばかりに意義があるわけではない。世代全体のレベルアップ。実はこれこそが、U―17やU―20で世界大会に出ることの、本当の意義なのではないだろうか。

ページトップ