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朝青龍が見せた偽りのない気持ち。 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

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posted2008/01/17 00:00

 北の湖理事長が同席せず、協会のトップが不在という異例の状況下で行われた横綱朝青龍の謝罪会見。角界を騒がせた一大事の会見は、11月30日、両国国技館で行われた。朝青龍は、冒頭「本当に長い間、皆様にご迷惑をおかけしたことを、心からお詫び申し上げます」と謝罪したが、時折、眉間にしわを寄せるなど不機嫌な雰囲気も漂わせた。騒動のきっかけとなった巡業休場中のサッカーには「頼まれたので出てしまった。自分でやってしまったことなので……」と説明し、横綱の品格については「大変なことをやってしまい、責任の重さを痛感している。道を外れないように頑張っていきたい」と、前を見据えた。もし意味不明な相撲論を唱えたり、「キレ」たりすれば、即刻引退も考えられたぎりぎりの状況での49分間。今回の謝罪で全てが水に流されたか定かではないが、最も印象に残ったのは、ファンへのメッセージを問われたときだった。言葉にならず、一瞬目を潤ませて、やっと座ったまま頭を下げた。その姿には、偽りのないファンへのお詫びと感謝の気持ちが窺えた。

 翌々日から行われた3日間の冬巡業。朝青龍は、土俵に上がれる楽しさを噛みしめるように、ファンサービスに終始した。ぶつかり稽古で地元力士をかわいがり、三番稽古で若手力士を吊り落としややぐら投げの荒技で叩きつける。ちびっ子相撲では茶目っ気も発揮した。その存在は、正しく相撲界の大黒柱。荒々しい復帰アピールにはいささか注文も出されたが、朝青龍スタイルを貫く以外、初場所で結果を出すことは不可能と考えての始動だったのではないだろうか。

 巡業後、右足首の怪我が判明。初場所の出場に暗雲が垂れこめたが、朝青龍は闘志で怪我を封印させた。久しぶりの部屋での稽古で順調な調整を重ね、問題視された親方との関係でも素直な優等生ぶりを貫いた。

 恒例となっている出稽古では「待った」もかかった。友綱親方は、高砂親方の指導方針に納得せず、異例ともいえる出稽古の受け入れ拒否を表明した。朝青龍の出稽古での荒技を警戒してのことでもあろうが、他の部屋に広がる可能性もある。

 紆余曲折を経て迎える初場所。相撲ファンに留まらず日本中が注目する中、朝青龍の獅子奮迅の闘いが始まる。

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