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若きCEOが明かしたウィリアムズ再生計画。 

text by

田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byToshiya Kondo

posted2007/03/22 00:00

若きCEOが明かしたウィリアムズ再生計画。<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

 ウィリアムズの失速は、昨季のF1界に衝撃を与えた。フェラーリやマクラーレン、ルノーと共に「ビッグ4」の一角をなす名門でありながら、コスワースのエンジンを使用するプライベーター参戦となり、コンストラクターズの成績も7位と低迷。チームのワークス化という時代の波に乗り遅れてしまったのではないかと、危惧する声も多かった。

 しかし同チームの新CEOであるアダム・パー氏は、この種の見方を否定する。

 「成績が悪かったのは、チームが根本的な問題を抱えていたからではありません。単にマシンの開発時間が足りず、信頼性を確保できなかったためです。我々には優秀なスタッフも、勝つためのノウハウも、そして情熱も揃っている。にもかかわらず小さなミスを重ねてしまい、こういう『資源』をうまく活用できなかった」

 そのような状況を改善するために、組織のテコ入れ役として昨年秋に招かれたのがパー氏だった。これに前後して、チームはデザイン部門やエンジニア部門などの人事も強化。冬季テストの結果が示すように、立て直しは順調に進んでいる。

 現在のウィリアムズには別の追い風も吹いている。まず今季のF1ではタバコの広告が禁止となる。他のチームが新たな資金源を見つけるのに苦労しているのと対照的に、ウィリアムズは数年前から「脱タバコマネー」を推進してきた。

 加えて今季からはトヨタエンジンの搭載が決定。氏によれば、これは実際のレースにおいて武器となるだけでなく、「イメージ戦略」でもアドバンテージになるという。環境問題はF1にとっても避けて通れなくなってきているからだ。

 「チームの目標はレースで勝つことにありますが、社会的使命も考えなければならない。'90年代のF1は市販車の安全性向上に貢献しました。21世紀のテーマは環境問題です。この点トヨタはハイブリッドの分野で世界をリードしていますし、ウィリアムズにはバイオ燃料で有名な企業もついている。環境にやさしく、しかもエキサイティングで楽しい。そんな次代のF1像を提案していきたいですね」

 これぞ先見の明だろう。ウィリアムズは時代に取り残されたどころか、最先端を走っていたことになる。名門復活とF1の未来をかけて。パー氏たちの新たな挑戦が、今週末メルボルンで始まる。

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