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ミケルソンが嵌った“魔の18番ホール”。 

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三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

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photograph byTaku Miyamoto

posted2006/07/04 00:00

ミケルソンが嵌った“魔の18番ホール”。<Number Web> photograph by Taku Miyamoto

 予期せぬ結末は、どんなスポーツでも起こりうる。時として、王者が格下の若者に敗れ去ることもある。106回目の全米オープンでは、その予期せぬ結末が起こった。

 首位のフィル・ミケルソンとケネス・フェリーを、1打差でジェフ・オギルビーが追う展開で迎えた最終日。左打ちの名手、ミケルソンが11番ホールでバーディーを奪って単独首位に躍り出る。13番でボギーを叩いたが、続く14番ですぐさま取り返し、この時点で2位に2打差をつけた。メジャー優勝経験があり、今年のマスターズも制しているミケルソンなら、これから勝利のレールにゲームをどう乗せ、どうコントロールしていけばいいか十分承知しているはずだ──。誰しもがそう思っていた。

 だが、最終盤に入ると、ミケルソンのゴルフに影がさし始める。ティーショットが大きく曲がり出したのだ。その影響でスコアをまとめられずに16番でボギー。17番はなんとかパーで切り抜けた。

 最終18番ホール、パー4。ミケルソンは2位のオギルビーと1打差で単独首位に立っていた。バーディーを奪わずとも、パーで自力優勝、ボギーでもプレーオフという状況だったが、ミケルソンはダブルボギーを叩いて自滅した。

 大きく左に曲がった第1打は、深いラフを越え、ギャラリーに踏み潰されて土が見えるライに転がった。行く手には、大きな木が数本ある。第2打は高いボールで木を越す作戦に出た。ところが、その木々の頂付近にボールが当たり、35ヤードほどしか前に進まない。めげずにグリーンを狙った第3打は、グリーン左のバンカーに入ってしまう。自力優勝がかかる第4打はグリーンオーバーして深いラフに。プレーオフに望みをつなぐ第5打もチップインはならず、ピンを2m余りオーバーしてしまった。

 「ショックです。信じられない。何て馬鹿なことをしてしまったのか……」

 36歳のミケルソンはうなだれた。

 もし、優勝争いの相手が29歳の新鋭、オギルビーでなく、ウッズやビジェイ・シンだったら、同じように「馬鹿なこと」をミケルソンはしただろうか。どこかにあった格下が相手だという思い──それが勝負の微妙な綾となったように感じられたミケルソンの陥落劇だった。

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