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キャブス敗退の陰にある、若きエースの苦悩と努力。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

posted2008/06/12 00:00

 努力さえすれば常に前進できることが約束されているのなら、どれだけ楽だろうか。自分が成長すればそれにあわせてチームも強くなるとわかっていたら、どれだけ簡単なことだろうか。

 1年前、22歳の若さながらチームのエースとしてクリーブランド・キャバリアーズをNBAファイナルに導いたレブロン・ジェイムス。ファイナルで力及ばず、外からのシュート力不足という彼自身の弱点をさらけ出して敗れると、夏の間中、徹底的にシュート練習に励んだ。

 「ファイナルを支配できなかったことは悔しかったが、それは僕が人間であるということ、もっと成長できるということだ」とジェイムスは言っていた。

 練習の成果は目に見えて表れ、ジェイムスはこれまで以上に支配的な存在となった。相手選手から「機関車のよう」と描写される恵まれた体格と、その身体を自由自在に操ることができる身体能力。そこにシュート力という武器が加わったことで、「1対1で止めることが不可能な選手」と言われるまでになった。

 しかし、ジェイムスの成長はチームの前進には結びつかなかった。チームメイトの契約問題や故障、そしてシーズン途中での戦力入れ替えなどの影響を受け、シーズン成績を昨季より5勝下げ(45勝37敗)、プレイオフでもカンファレンス・セミファイナルでボストンに敗れ、去年より1カ月早くシーズンを終えた。大黒柱として最後までチームを引っ張り抜く気概と自信を持っていたジェイムスにとって、それは落胆する結末だった。

 対ボストン第7戦。5点差を埋めようとジェイムスが放った最後の3点シュートが外れ、ボールが相手選手の手に渡ると、ジェイムスは試合終了のホーンを待たずに出口に向かって歩き始めた。後ろを振り返ることもなく、早足でまっすぐコートを去っていった。

 少しして会見場に出てきた彼は、自分に言い聞かせるかのように言った。

 「毎年ファイナルまで行けるわけではないことはわかっている。できるだけのことをするだけだ。そして、僕らはその努力はしたと思う」

 努力しても結果が伴う保証はない。それがわかっていても、きっと今ごろ、ジェイムスは再びコートに戻り、来シーズンに向けての練習を始めているはずだ。

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