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本番直前の大騒動。出場枠が減った理由は。 

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藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

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posted2006/02/23 00:00

 トリノでは連日熱戦が続いている。

 選手たちにとって五輪は4年に1度の晴れ舞台だが、やっと手にした出場切符を巡って、大会直前に2つのトラブルが起きた。ともに選手のエントリー数が上限をオーバーしたことが原因だったが、対応と結果はまったく異なった。

 世界ランキングによる選考で出場権を獲得できなかったボブスレー男女2人乗りの4選手は、各大陸に1枠ずつ与えられる「大陸枠」で出場権を得たと日本ボブスレー・リュージュ連盟は発表。実際、1月25日には国際ボブスレー連盟(FIBT)から出場OKのメールが届いた。だがその数時間後、今度は「資格取り消し」のメールが送りつけられて大混乱となった。

 国際オリンピック委員会(IOC)とFIBTとの事前折衝で、ボブスレーの選手数は170人に制限されていた。日本の4人を加えた総数は176人だったが、IOCは許容範囲内として認可した。ところがその後、出場を辞退していた別の国がエントリーしたため、弾き出された形の日本が「アウト」となってしまったのだ。すったもんだの末、IOCが「資格を得るための複雑なシステムにも問題があった」として4人の資格を回復。選手たちはなんとか五輪の切符をつかんだ。

 スピードスケート男子団体追い抜きのメンバーだった安田直樹(たてしなク)も、国際スケート連盟(ISU)の参加標準記録引き上げに伴い、開幕直前に資格を失った。ただしこちらは日本スケート連盟からの抗議はなく、安田本人も「ルールに従うこともスポーツマンシップ。僕は若いし、次の五輪もある」と冷静に対応し、混乱は起きなかった。

 安田の場合、ISUは事前にエントリー数が増えることを予想し、昨夏の段階で各国に「標準記録の引き上げもありうる」ことを伝えていて、選手間でもその周知は徹底されていた。他方、ボブスレーは国際連盟からの事前通達はなく、「大陸枠」が絶対的なのか単なる特例なのかの解釈も、各国でバラバラだった。この差が混乱の有無につながったのだ。安田の言う通り「ルールはルール」だが、それを事前に知っていたのと知らなかったのとでは天と地ほどの差がある。選手が4年間の努力を無駄にすることのないよう、今後はしっかりした準備を望みたい。

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