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金のまわしに隠れた、いぶし銀の古参力士。 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

PROFILE

posted2005/04/14 00:00

 全勝優勝こそ逸したものの、余裕の独走劇で大阪場所連覇を果たした朝青龍。かつては東京場所に比べて地方場所に弱いと言われていたが、今やそんなジンクスも完全に払拭した。特にこの大阪場所は、師匠の高砂親方(元大関朝潮)が初優勝。先々代高砂親方(元横綱朝潮)も4回優勝と、高砂部屋にとっては抜群の相性を誇る。懸賞金を受け取る手刀も右手で切るように直し、心技体全てに幅が出たという感すら抱かせた。その土俵上の姿から放たれた神々しいまでの輝きは、決して新調した黄金色の締め込みだけのせいではない。ライバル不在、強過ぎるが故の孤高の闘いは、これからも当分続きそうである。

 横綱の黄金の輝きに対し、今場所いぶし銀の光を見せつけたベテラン力士が2人いる。若手の有望力士達がことごとく期待を裏切るなか、幕内最年長36歳の琴ノ若と、33歳の土佐ノ海は、次代を担うであろう若手に対して真正面からぶち当たり、相撲の厳しさ、そして難しさを知らしめた。その相撲内容は、実にすがすがしく見事だった。

 今年11月に師匠が定年を迎え、娘婿の自らが引退し部屋を受け継ぐ予定の琴ノ若。11日目、自身の入門の2年後に生まれた、幕内最年少18歳8カ月の稀勢の里戦で見せた闘志は凄まじかった。頭からガーンと当たり、稀勢の里の張り手を顔面に受けると、自らも張り手で応酬。更に左右の突きで攻めたて、最後は左腕がきれいに伸びて突き倒し。度重なる怪我のため、今でこそ四つ相撲になったが、若い頃鍛え抜いた突き押しで稀勢の里を圧倒した。「若い人とやれるのはうれしい」とは、最早悟りの心境にもみえる。

 上位陣総当たりの地位で、本来の突き押し相撲を復活させた土佐ノ海は、2人の大関と関脇・小結陣を総ナメにした。特に白鵬、琴欧州の新三役外国人力士を撃破した相撲は、正攻法で一瞬の迷いも見せなかった。白鵬と琴欧州が共に勝ちを焦り、いなそうかわそうとしていたのとは対照的だ。勝負にこだわり過ぎず、上を目指す力士の持つべき心構え、取るべき正攻法の相撲を、身をもって伝えた一番だった。

 今しばらくは、ベテラン勢に頼らざるを得ない状況の大相撲。彼らの無言の教えを、早く若手が吸収して欲しい。

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