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おやじとちびっ子の、熱気漂う晴れ舞台。 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

PROFILE

posted2007/05/31 00:00

 プロでもない、アマチュアでもない、というボクシングが近頃盛況である。ひとつは、37歳の「ボクサー定年」を過ぎてもまだまだ元気な男たちのための「おやじファイト」、これは昨年この欄で紹介した。そしてもうひとつが、小・中学生を対象にした「ちびっ子ボクシング」である。

 これまで横浜市内のジムで開催されてきた「全国ちびっ子ボクシング大会」は年々規模が大きくなり、NPO法人日本キッズボクシング協会(平野敏夫理事長)を立ち上げたのを機に、7回目の今年から横浜の立派な会場に舞台を移して挙行された(4月30日)。今回は138名参加。一日がかりで計68試合を消化した。

 会場に漂う熱気の源は、選手たちよりも、付き添いの親たちだったかもしれない。元ボクサーの父も、ジム会長の父もいた。皆、子供と一緒に戦っているようだった。中には熱くなりすぎて判定に異を唱え、「勝敗にこだわりすぎる親が多い」と主催者をぼやかせる親もいた。

 小学校低学年のちびっ子選手が、顔よりも大きなグローブを振り回して奮闘するさまはなんともユーモラスで、見る者の笑いを誘う。だが中学生ともなると、高校のアマチュア試合と変わらない。時にはドキッとするようなパンチが決まっての強烈なKOシーンもあり、救急車で病院に運ばれる子もいた。

 一方、「おやじボクシング」も今年は頻繁に行われている。昨年の大会で一躍ヒーローになった59歳のジム会長、高橋保久さんは晴れて「おやじチャンピオン」に認定され、主催者特製のチャンピオンベルトを贈られた。高橋さんは「負けたら即引退」と、毎試合背水の陣で防衛戦に臨む。11月には聖地・後楽園ホールという一番の晴れ舞台も用意されている。

 「ちびっ子」も「おやじ」も日本ボクシングコミッションや、日本アマチュアボクシング連盟の管轄外のイベントではあるが、ボクシングの普及、競技人口の拡大という点では間違いなく貢献している。

 ただ、ボクシングは頭部を攻撃し合う競技だけに、事故の危険は常にある。主催者はドクターを用意し、万が一に備えて保険をかけ、使用グローブも衝撃を緩和する特製品を用意するなど、大会の安全な運営に留意している。これはいくら留意しても、しすぎることはあるまい。

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