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アイルランド戦で終了した春シーズンが示したもの。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byShinsuke Ida

posted2005/07/07 00:00

アイルランド戦で終了した春シーズンが示したもの。<Number Web> photograph by Shinsuke Ida

 「いろいろ考えさせられた3カ月でした」。アイルランド戦を終えた箕内拓郎は言った。第1戦は12対44、第2戦は18対47。南米遠征から始まった春のテスト・シリーズは、W杯アジア2次予選の香港と韓国、スーパー杯のルーマニア戦に勝ったのみ。目標に掲げたスーパー杯連覇とアイルランド戦勝利は達成できず、話題は不祥事だけに終わった。

 「いい環境でやらせてもらってるのには感謝しているけど、多くの面でもっと改善が必要です。それをスタッフや協会の人にも考えてほしい。それは2011年にこの国でW杯をやっていいのかどうかの問題でもあると思うんです」

 箕内は慎重に言葉を選んで話した。昨秋の欧州遠征で失った名誉を取り戻すため、夢だった海外移籍を封印して代表再建を目指した主将の苦悩。それは、スクラムコーチの不在に象徴される。アイルランドとの第1戦では、ボールをNo.8の箕内が拾い、SH村田亙に渡すプレーが目立った。通常、スクラムで劣勢のときに使うプレーではないが……実はフッキングが合わずにボールが止まり、箕内が拾わざるをえなかったのだ。今春の日本代表はフランス人コーチのもと、個々の判断力を養う練習に時間を割いた。それはボールが動いている局面でのゼネラルスキルを向上させ、アイルランドとの第2戦ではターンオーバーとFKから、ともに速攻で奪ったスリリングなトライに結実したが、一方でスクラムの練習はほとんど手つかずのまま。そもそもスクラムコーチの不在は、昨秋の欧州遠征前から指摘されていた懸案だったのだが。

 対するアイルランドは、格下の日本相手でもビデオで徹底的に研究。HOシーハンは「セットプレーは我々の強み。優位に立てるようずっと研究を続けてきた」と明かした。ライオンズのNZ遠征で主力12人を欠いた状況下で、自分たちの長所を活かすための具体的戦術を磨いて臨んだのがアイルランド。対する日本は、総論的な練習に打ち込むあまり細部を整備しないまま決戦に臨んでしまった……。

 大敗という結果にも体制は存続し、露呈した課題は先送りして違う作業に着手……かように代表が足踏みしている間も、次のW杯は待ったなしで近づいてくる。

 箕内、大畑大介らの黄金世代は今年30歳。これ以上遠回りしている時間はない。

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