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J・オニールが見せた非情なまでの決意。 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2006/01/26 00:00

 ジーンズにジャケット、ハンティング帽といういでたちでコートサイド席に座っていたレジー・ミラーは、試合の最初から最後までポーカーフェイスを崩すことはなかった。1月上旬、ロサンゼルスで行われたインディアナ・ペイサーズ対ロサンゼルス・レイカーズ戦でのこと。試合終盤に古巣ペイサーズが3点差を追いかけて最後の攻撃をしかけたときだけは思わず席から立ち上がっていたが、その攻撃が空振りに終わりペイサーズが僅差でレイカーズに敗れ去ると、ポーカーフェイスのままアリーナを後にした。

 試合後のペイサーズのロッカールームでは、ジャーメイン・オニールが同じようなポーカーフェイスでこう言った。

 「レジーのことは関係ない。彼はもうペイサーズの人間ではないからね。今ここにいるメンバーで勝つ方法を見つけなくてはいけない」

 一見冷たいコメントにも思えるが、よく考えると、このところのペイサーズは、それくらい感傷的な面を切り捨てなくてはやっていけない状況の連続だった。

 昨シーズンには開幕直後にロン・アーテストの客席殴りこみ事件が勃発。アーテストのほか、オニールら数人の選手が長期出場停止となり、優勝が遠のいた。

 今シーズンになり、ミラーが引退したものの、アーテストも復帰してようやく優勝を狙えるチームに戻ったと思ったところで、今度はアーテストがトレード志願発言。チーム内での役割に不満というアーテストの言い分に、オニールは怒った。その後、アーテスト自身がトレード要求を撤回したあとも「チームより個を優先させた彼とはもういっしょにやっていられない」とばっさりと切り捨て、残りのメンバーで先へ進む道を選んだ。

 ミラーやアーテストに対して感傷的になったり、後ろを振り返っていては、チームとしてだめになってしまう。チームのリーダーであるオニールの断固とした、ある意味冷たいと思える姿勢は、ペイサーズが生き残るための唯一の手段だった。

 オニールは、まわりのチームメイトに言い聞かすかのように言った。

 「僕らは優勝を争えるチームだ。世の中の人はそう思っていないのは知ってる。ロン(アーテスト)抜きで優勝できることを世間に証明したい」

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