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ベテランたちが挑む、春のサバイバルレース。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2008/02/28 00:00

ベテランたちが挑む、春のサバイバルレース。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 メジャーのキャンプは、綿密なメニューに沿って黙々と進行する。声が激しく飛び交うこともなければ、ユニフォームを泥だらけにするようなノックも行われない。全体練習は3時間ほどで終了する。それだけみていると、物足りなさを感じるが、ファンやメディアの目の届かないところで、選手たちの個人練習は朝早くから日没まで続く。そして、そんな選手たちの“主役”として、キャンプ地に緊張感を持たせているのが、マイナー契約の招待選手である。

 キャンプ取材ではどうしても主力選手の調整具合に目が向きがちになるが、一方では、招待選手にも大いに興味をかき立てられる。将来性豊かな若手のチャレンジはもちろん、復活を賭けたベテラン選手たちの動向が気になるからだ。日本人選手でいえば、2年ぶりのカムバックを目指す野茂英雄を始め、桑田真澄、高津臣吾、薮恵壹の1968年生まれカルテットである。複数年契約を交わす主力選手にとっては、開幕までのスプリングトレーニングは単なる調整の場だが、彼らのような、招待選手という名のテスト生にとっては、生き残りを賭けた正念場なのである。

 この春、同様の立場で参加しているビッグネームは少なくない。過去2度のア・リーグMVPに輝いたホアン・ゴンザレスは、他の25人もの招待選手にまじってカージナルスでカムバックを狙う。度重なる足や腰の故障で、'05年を最後に消えていた38歳のスラッガーは、2年のブランクを乗り越え、再びメジャーで輝くことができるのか。昨年、同じように招待選手でレンジャーズのキャンプに参加し、見事に開幕ベンチ入りを果たしたばかりでなく、史上5人目の通算600号ホーマーを達成したサミー・ソーサの例があるだけに注目される。

 他にも、昨年までロイヤルズの主将でオールスター5回出場のマイク・スウィーニーを始め、古巣ブレーブスで復帰を目指すハビー・ロペス、DHで松井秀喜のライバルになりそうなモーガン・エンズバーグなど、かつての四番打者が各チームの招待選手にズラリと並んだ。

 こうしたベテランは、復活が果たせなければ、多くの場合、引退に追い込まれる。今年も希望と絶望が背中合わせの春が始まった。

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