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0勝4敗で二軍落ち。雑草・上原は立ち直るか。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2008/05/15 00:00

 今季5試合を投げ、0勝4敗、防御率6.75の巨人・上原浩治が二軍で再調整することになった。

 上原といえば、制球力、配球、フィールディング、けん制を含めてのバランスでは、当代随一の投手だろう。安定感が抜群なことから一番の信頼を得ていたし、エースとしてのわがままもある程度許されていた。

 今年3月、親会社の主催する大リーグの開幕戦がパ・リーグの開幕と同時期だったことから、「この時期に開催するのはいかがなものか」と公然と批判。さらには、FA資格取得後の4月7日、メジャーに行きたい、と公言できたのも今までの実績のなせるわざであった。

 少々古い話になるが、稀代の名将・森祇晶(当時・西武監督)と上田利治(当時・阪急監督)の2人がこんな会話をしていたことがある。「実績のあるベテランが不調に陥った時の起用は難しい。プライドがあるからね」。西武は東尾修、阪急は山田久志というエースがいたが、不調により2人とも出遅れていた'88 年のことだ。今シーズンの上原を見て、その時の状況が思い出された。

 初登板の時は「あぁ、負けてしまったか」ぐらいに軽く受け止めていたのが、2敗、3敗となると、自分を見失い始める。調子がいい時は余裕を持って投げられたゆるい球も、余裕が無くなると力まかせの速球になり、相手にとって打ちごろになる。首脳陣も、結果が出なくなると、冷たくなるのがこの世界の常。上原はそれを肌で感じていたに違いない。

 ふだんの発言は大胆でも、本来はナイーブな性格だけにますますおいつめられたのだろう。古傷を抱える太ももへの不安からオフに走りこめなかったため、下半身に体重が乗らず、バランスを崩しているという指摘もある。

 300勝を挙げ、かつて「草魂」と言われた鈴木啓示(当時・近鉄)は速球が通用しなくなった時、二軍での徹底した走り込みと、下半身強化によって復活した。「雑草は踏まれても踏まれても立ち上がる」と言って二軍に行った上原は、この名投手の例に続くことができるだろうか。

 このままメジャー行きを決められたのでは、巨人ファンにとってあまりに寂しいだろう。

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