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ジャンプのルール改正は日本に有利となるか。 

text by

時見宗和

時見宗和Munekazu Tokimi

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posted2004/12/28 00:00

 今シーズン、ノルディックのジャンプ競技及びコンバインド競技のジャンプ種目に注目すべきルール改正が行われた。この10年あまり、日本つぶしを目的とした露骨なまでのルール改正が繰り返されてきたが、今回は朗報といえるかもしれない。

 具体的には肥満度を計る指数として一般的に使われているBMI指数(体格指数)=体重(kg)÷身長(m)×身長(m)を導入。BMI指数が正常の20に満たない選手は短いスキー板を履かなければならないとしたもの。この新ルールによって、たとえば身長170cmの選手は体重が58kg以上ならば今までどおり248cmのスキー板を使用できるが、56kg未満なら3cm、55kg未満なら7cm短いスキー板を使用しなければならないことになった。

 日本つぶしの最たるものは1998年、日本チームが金メダルを獲得した長野五輪直後に導入された「身長×146%以内ルール」だった。身長165cmの岡部孝信は4cmもスキー板を短くしなければならなくなり、身長180cmの選手、つまりヨーロッパの多くの選手たちは岡部よりも約20cmも長いスキー板を使用できることになった。

 いかにして浮力を得るか。ジャンプ競技の技術的なテーマはこの一点に尽きる。浮力を得るためにはスキー板が長いほうが有利。条件が同じであれば1cmで3〜5m、飛距離に差が出る。だから選手たちはスキー板に対して異常なほど敏感で、シーズン前に行われるスキーテストでは1cm単位、100g単位でちがいを感じわける。それほど繊細な感覚をかきまわされたのだから、日本チームの成績が低迷するのは当然すぎるほど当然のことだった。

 一方、'98年のルール改正後、ヨーロッパの選手たちは、さらに浮力を求めて減量に着手。減量はすぐに限度を超え、拒食症や精神不安定になる選手が出るに及んで、国際スキー連盟が下した決断が今回のルール改正だ。すでにコンバインド競技の開幕戦では、ジャンプで2位に入ったフィンランドの選手が、新ルールに違反したため失格となっている。

 今回の改正によってようやく海外と互角の勝負ができるようになった日本チーム。狂わされた感覚を取り戻すには少し時間が必要だろうが、約1年後のトリノ五輪ではきっと美しく伸びやかな放物線を見せてくれるはずだ。

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