SCORE CARDBACK NUMBER

「パートI国」入りで国際化はなされたのか。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

photograph byKiichi Yamamoto

posted2007/05/31 00:00

「パートI国」入りで国際化はなされたのか。<Number Web> photograph by Kiichi Yamamoto

 実質的にはほぼ有名無実となりそうな「国際レース」を一気に増殖させて、念願の「パートI国」の座を射止めた日本の競馬。それによってなにがどう変わったのか、あるいは変わるのか、それがどうもよくわからない。あくまでも個人的な感想だが、国連の常任理事国入りがほしくてたまらない人たちと同じ臭いを感じてしまう。現実の姿より、まずは立派な肩書きがほしかっただけなのではないかと思えるのだ。

 いざ「パートI国」となってみたら、格段に重い責任を負わされることに気がつく。日本ダービーなど、日本以外の国で調教されてきた馬に開放されていない重賞レースについては、「G(グレード)I」の表記は容認できません、と通告されることとなったからだ。あわてて出してきたのが、「JpnI」と表記して「ジーワン」と発音するという解決策だが、いかにも付け焼刃。国際的には認められない重賞レースがほぼ半数あるというのだから、なんのための「パートI国」入りだったのか、複雑な思いを抑え切れない。

 こんなタイミングで、大井競馬が出してきた制限付きの外国産馬開放策に対して、反対運動を起こす生産界の姿勢もおかしい。日本の馬産は国際競争に耐えられる力をつけた、だからこそパートI国に名乗りをあげたというのに、「鎖国政策で我々を守れ」と訴え、関係団体も追随する。嘆かわしい話だ。

 JRAが日本以外に居住地を持つ外国人に対して馬主登録の申請を受け付けないのも大局を見ていない。認めたら、押し寄せる外国産馬に席巻される? 決してそんなことはない。高い関税を支払ってまで、自国のクラシックレースを捨てて日本に連れて来る可能性は極めて低い。そんな心配をするよりも、外国の資産家が日本で馬を買って楽しんでくれることを期待するのが本筋ではないか。

 いまの日本の競馬に最も足りないのは、ステータスと潤沢な資金を持ったオーナーだ。英国のように、皇室が馬を持ってくれたなら、馬主資格を持つ意義の向上は計り知れない。それにひかれて馬を持つ優良な資産家が参入してくれることになれば、競馬はもっと盛り上がることになる。日本ダービーが国際的にGIと認められないのは寂し過ぎる。いまの時代、鎖国思想は捨てるべきだ。

ページトップ