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新生メイジで光る
小兵・秦一平のタックル。
~U20日本代表を目指す152cm~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byShinsuke Ida

posted2009/10/26 06:00

「自分の武器をアピールしたい」と秦。4日の成蹊大戦で公式戦初となるトライも決めた

「自分の武器をアピールしたい」と秦。4日の成蹊大戦で公式戦初となるトライも決めた

「何度も同じ質問が重なって申し訳ないけど、身長と体重は……」

 10月4日の熊谷ラグビー場。初先発した成蹊大戦の後で、今季何度目かの同じ質問を受けた紫紺の背番号9は、遠慮がちに尋ねた記者に屈託ない笑顔で答えた。

「152cm、52kgです」

100kg超の巨漢に猛タックル。152cm、52kgの「猛獣」。

 2009年秋。ラグビー担当記者の間で、注目度も好感度も赤丸急上昇中のイチオシ選手が明大SH秦一平である。福岡・筑紫高出身の2年生。身体は確かにミニマム級。人当たりの柔らかさも冒頭の場面通りカシミア並み。だがプレーを一度見たら、痛いほどハートを掴まれてしまう。190cm、100kg級の巨漢FWが向かってきても臆せず猛タックル。対抗戦の開幕前、チームを勢いに乗せた夏合宿の帝京大戦では核弾頭のNO8野口主将、FLツイの突進に頭から突き刺さり、公式戦初先発を果たした成蹊大戦では、自陣ゴール前で相手LO永井のトライを阻止する猛タックル。さらさらヘアーのルックスからは想像できない猛獣的プレーを見せたかと思うと、ボールを持てば軽快なパス捌きでチームにリズムとテンポをもたらす。攻守両面で観戦者を酔わせてしまう危険なプレーヤーだ。

 ラグビーを始めたのは小学4年、福岡の名門スクール・草ヶ江ヤングラガーズで。「ずっと一番ちっちゃかったけど、ラグビーを辞めようとは一度も思わなかった。下のボールを拾うのは有利だし、低いプレーは普通にできるし」とサラリ。

 小柄なSHとしては、法大3年時に対戦したケンブリッジ大の監督に「身体は小さくてもハートは一番大きい」と絶賛された東京ガスの穂坂亘主将(151cm)がいるが、「中学の頃から穂坂さんを目標にしてました」と秦。小型ビッグタックラーのDNAは、同じ福岡で育った小さな大先輩から受け継いだものだった。

吉田監督も賞賛する「前へ出る」ラグビー。

「彼のディフェンスはすごくアグレッシブ。相手を一発で倒すタックルで明治の『前へ』出るラグビーを表現してくれる」。吉田義人監督はそう称賛しながら「記事は抑えめでお願いしますよ」とニヤリ。

 小柄な身体で世界と戦った指揮官だけに、要求レベルも高くなるのだ。2月生まれの秦には来年のU20日本代表の資格もある。サイズの枠を超えたタックルは、世界に挑むチャンスを掴むか。今季の研鑽に注目していきたい。

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