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レブロン・ジェイムスが、本当のキングになる日。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

posted2007/06/14 00:00

 プロスポーツの世界では“賞賛”と“批判”は常に隣合わせだ。たとえ22歳の若さで自ら『キング』と名乗っても、勝負どころのプレーをひとつ決めれば「あだ名にふさわしく自信にあふれた選手だ」と賞賛され、失敗すれば「自惚れがすぎる」と批判される。

 東カンファレンス・ファイナル第1戦、クリーブランド・キャバリアーズのキングことレブロン・ジェイムスは、試合終了間際、2点を追う場面でドライブインからゴール下まで入りこむと、コーナーでノーマークだったチームメイトにパスを出した。このチームメイトの3ポイントシュートが決まれば逆転に成功し、「さすがはレブロン」と賞賛されたであろう、教科書通りの美しいプレーだった。しかし現実にはシュートは外れ、そのことでシュートを外した選手よりも、ジェイムスが批判の矢面に立たされた。

「なぜゴール下まで入りながら自分で打たなかったのか」「マイケル・ジョーダンだったら自分で決めていた」「キングではなく、か弱いお姫様だ」と厳しい批判が飛んだ。この試合でデトロイト・ピストンズのディフェンスはジェイムスを徹底マークしており、プレイオフ自己最低記録の10得点、フリースロー0本に終わっていたことも、批判に拍車をかけることとなった。得点のかわりに9アシストをあげていたのだが、負けたらそういった貢献も無視されるのが常だ。

 試合後、ジェイムスは批判に対して、「自分はするべきプレーをしただけ」と胸を張った。そして、その2試合後の第3戦、自らのプレーで批判に対する答えを見せた。2連敗後の「人生で最も重要な試合」(ジェイムス)で、試合開始直後から積極的に攻めてディフェンスを崩し、勝負どころでシュートを決める大黒柱らしい活躍(32点、9アシスト、9リバウンド)でチームを勝利に導いたのだ。

 もちろん、この1試合だけでジェイムスに対する批判がこの先、永遠に消えたわけではない。むしろ、まだこれから何度も批判と賞賛の間をいったりきたりすることだろう。

 いつの日かそういった批判の声を黙らせることができる選手だけが、真のスーパースター、真のキングとして君臨することができる。この試合でジェイムスは、まずはその時に向けて一歩前進した。

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