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山あり谷ありの、「親子=師弟」関係。 

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前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byAtsushi Hashimoto

posted2007/11/01 00:00

山あり谷ありの、「親子=師弟」関係。<Number Web> photograph by Atsushi Hashimoto

 フロイド・メイウェザー、オスカー・デラホーヤ、シェーン・モズリー、ロイ・ジョーンズJr.、フェリックス・トリニダード──この5人の新旧スーパー・チャンピオンたちの共通点は何か。全員が複数階級の世界王座を獲得した天才ボクサーであると同時に、元ボクサーの父から手ほどきを受け、王者への道を歩み始めたことである。

 5人の父親は誰も世界王者になるような傑出した選手ではなかった。だからこそ自らの果たせなかった夢を息子に託し、指導にも力が入ったのだ。逆に功なり名遂げた王者が自分の息子を教えて成功したためしはほとんどない。過去に世界王者の息子が世界王者になったのは、スピンクス、エスパダスの2例あるが、ともに息子は父以外の指導者を頼っている。

 最近は日本でも、ジムの会長が師弟関係にある息子をボクサーに育てる例が珍しくない。一番の成功例は、35歳でWBA世界フェザー級王座を手にした越本隆志と父・英武会長の師弟。現役では日本ライト級王者長嶋建吾と父・清会長を筆頭に数組、ある。

 親が師であることが、プラスになる点は多いが、そうとばかりは限らない。冒頭の5組の師弟に戻ると、メイウェザーは父フロイド・シニアと殴り合いの喧嘩までして絶縁し、ジョーンズも父シニアと同じフロリダの小さな町に住みながら、もう何年も絶交状態。良好な関係といわれたモズリー親子も、一度は師弟関係を解消し、最新の試合でヨリを戻した。職人の父と天才の息子。個性の強い同士だけに、衝突も避けられず、父親の言いなりだった息子も、いつか自立心に目覚め、親離れするのは必然なのかもしれない。

 さて、渦中の「親子=師弟」関係、亀田ファミリーはどうなるのだろう。父に絶対服従で固い結束を維持してきたというのに、まさか親子でライセンス停止とは。亀田父にボクサー経験はない。それもあって、試合のインターバル中に選手=息子に反則を指示するという、前述の5人の父たちには思いもよらない大胆な発想(?)もできたのではないか。

 で、今後どうするのか。賢明なデラホーヤ父のように、自らは口出しせず、著名トレーナーを招いて息子を任す、という手もある。これだと実質「師弟関係」は解消となるが……。

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