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メジャー4年目の黒田が完成間近の、
至高にして変幻自在の投球術とは? 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2011/04/19 10:30

メジャー4年目の黒田が完成間近の、至高にして変幻自在の投球術とは?<Number Web> photograph by Getty Images

黒田は4月3日に行なわれたジャイアンツ戦に今季初登板。7回6安打3失点ながらも勝利し、シーズン初登板を4年連続勝利で飾った

WHIPとGO/AOの数字が示す、黒田とハラデーの共通点。

 そこで黒田、ハラデー、さらに2人とは違うタイプで力投派の代表といえるティム・リンスカムのデータを比較してみた。

選手 平均与四球 平均奪三振 平均被打率 WHIP GO/AO
 黒田博樹   1.36  4.36   0.246   1.17   1.54 
 ハラデー   1.40  4.96   0.254   1.18   1.86 
 リンスカム   2.37  7.40   0.223   1.18   1.23 

 WHIPとは、1イニング当たりの「平均被安打+与四球数」を示したもので、投手の安定度を見極めるデータとしてMLBの公式成績にも必ず入っている。またGO/AOは分母を「飛球によるアウト数」、分子を「ゴロによるアウト数」にして計算された値で、投手のタイプをある程度識別することができる。

 これらの数値を見て明らかなように、黒田とハラデーが非常に近似しているのがわかる。リンスカムのように三振をどんどん奪い、力で打者をねじ伏せるのではなく、ある程度安打を許しながらも安定した制球力で確実にゴロを打たせているのが浮き彫りになってくる。

「しっかり投げていればチームからも信頼されるようになる」

 さらにいえば過去3年間黒田は、勝利数ではハラデーやリンスカムに遠く及ばないものの、両者に匹敵する安定感(WHIP)を誇っていたのだ。打線の援護の違いもあるだろうが、それ以上にエースとして君臨する両投手のように、自分の調子に関わらず登板する時は必ずリード、もしくは最悪でも同点の場面で降板するという先発投手としての究極の役目を果たせていなかった部分も否定できない。だがここまで2試合登板した黒田は、見事に試合をコントロールしているのだ。

「しっかり投げていればチームからも信頼されるようになると思う。今は信頼してもらえるピッチャーになるということが一番大事」

 ドン・マッティングリー新監督の下、確実に結果を残す黒田は一歩ずつエース投手の階段を上がっている。

【次ページ】 理想は“10の投球”、実際は5~6でゲームを組み立てる。

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