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突然の監督更迭、選手たちの見方とは。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byShinsuke Ida

posted2006/10/12 00:00

突然の監督更迭、選手たちの見方とは。<Number Web> photograph by Shinsuke Ida

 「新婚初夜に失敗したような感じ」。今季の初テストマッチ、格下のアラビアン・ガルフに前半苦戦した後の言葉はこの伏線だったのか。日仏をまたいだ重婚発覚。はるばる説得に出向いた男に二重生活の不倫妻は「私は両方に尽くしたい」と訴えつつ「ここからも離れられない」と予防線。「戻らないと離縁だ」と迫られれば「それはできない、どうぞお好きに」と言い捨てて元の鞘へ……全く、書いてて嫌になる緩いドラマだ。

 ラグビー日本代表初の外国人指揮官、ジャンピエール・エリサルドは、日本協会に無断で、フランスでかつて在籍したクラブの総監督に就任。翻意を求める太田治GMの説得も、日本代表への専任を求める森喜朗会長の正式要請も断り、日本代表との短い結婚生活を打ち切った。

 「フランス人がみな同じだと思わないで下さい」。日本で指導する某フランス人コーチが訴えた悲痛な言葉は、記者からもファンの皆さんにお願いしたい。リーブ、ブランコ、カステニエド……どうか彼らまで嫌いにならないでほしい……実は自分に言い聞かせているのだが。

 だからといって「フランス流は継続しないと」(20日の浜本剛志・強化担当理事発言)と決めつけるのは待ってほしい。エリサルド時代の常連だったある代表選手は「ジャンの指導は緻密に組み立てるんじゃなく、個々の判断を求めた分、応用が利く。次に誰がやっても違和感はないと思う」と証言し、「国内の試合を見てくれないのは残念だった。遠征中は選手によく悪戯してきたけど、ラグビーの質問をしてもはぐらかす答えが多かった」とクールに評した。別のある選手は「人間関係は一緒にいた時間の積み重ねだから、新しい人とゼロから作り直すのは大変」と指揮官交代には顔をしかめたが、ジャンの指導への信頼めいた言葉はなかった。「W杯にはぜひ出たいし、そのためには11月の予選でも代表に入りたい。でも、どんなプレーをすれば選んでもらえるのか分からないのは不安です」。

 まったく、最大の犠牲者はW杯前の貴重な1年間を振り回された選手たちだ。

 「理事会」や「8強会議」はもう次の指揮官を捜しているはずだが、いっそその席に選手代表を加えてはどうか。世界で体を張る現在の選手の実感こそ、日本代表が必要とする指導者像を示せると思う。

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