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赤ヘル躍進を支える主砲・栗原の存在感。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2008/10/09 00:00

 FA制度がスタートした'93年、戦力の不均衡を心配する12球団のオーナーの中で、広島東洋カープの松田元オーナーだけが「戦力が抜ければ、それを補う選手が育ってくるものだ」と語っていた。広島はFAでの草刈り場と言われ、江藤智(現・西武ライオンズ)金本知憲(現・阪神タイガース)新井貴浩(現・阪神)らの4番打者が毎年のようにチームを去っていった。

 今年、松田の言葉通り、4番打者の穴を埋める新しいスターが生まれつつある。9年目を迎えた広島の栗原健太である。日大山形高時代には、高校通算39本塁打を放ち「東北の怪童」と言われていた。長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督は「松井秀喜(ヤンキース)並みのパワーを持っている」と栗原の実力を高く評価していたものだ。入団6年目で初めて3割を達成。昨年は全試合出場を果たした。

 しかし今シーズン4番の座についたときは、責任を感じるあまり結果を出せなかった。小早川毅彦打撃コーチも「4番降格を考えた」と言うが、じっと我慢していたところ、夏場に入り調子を上げてきたのである。

 来年から新球場に移る広島にとって、今年は市民球場のラストイヤーでもある。球場に足を運ぶファンも増え、熱狂はかつての赤ヘル旋風で球場が沸いた '70年代後半から'80年代前半の勢いを彷彿させている。チームも上昇気流に乗り、今年はクライマックスシリーズ出場を中日ドラゴンズと争うまでになった。

 「お客さんの熱意が伝わってくると、自然と力が入ります。以前、金本さんが甲子園の熱気はすごいと言っていましたが、その意味がようやく分かりました」

 かつては閑古鳥が鳴いた球場を見ながら、栗原は言う。

 ドラフト3位で入団。甲子園出場を果たしたものの、1回戦敗退。あまり注目されない中でプロ入りした栗原にとって、スター軍団の巨人に対するライバル心は人一倍ある。

 「巨人を見ていると、絶対に負けたくないという気持ちになりますよ。今年で最後の広島市民球場で一分でも長く野球をしたいという思いもありますし」

 たたき上げの一人として広島の屋台骨を支える主砲、栗原。エリート軍団の巨人にとって不気味な存在である。

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