SCORE CARDBACK NUMBER

日本を制した浅田真央、満を持して世界に挑む。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2007/01/25 00:00

日本を制した浅田真央、満を持して世界に挑む。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 北京五輪の前年となる今年は、8月に大阪で陸上の世界選手権が開催されるのを始め、各競技で世界選手権が予定されている。日本選手が世界を相手にどんな活躍をするのか楽しみだが、その前にもう一つ忘れてはならないビッグイベントがある。3月に東京で開催される、フィギュアスケートの世界選手権だ。世界最高峰のこの大会に、日本の女子は浅田真央、安藤美姫、中野友加里の3人が出場して、史上初の表彰台独占を狙う。

 昨年末の全日本選手権では、浅田がSPで71.14点をマークして首位に立つと、翌日のフリーでも今季初めてトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させ、合計211.76点で優勝した。国内大会のため国際スケート連盟の公式記録とはならないが、NHK杯で自身が出した199.52点を上回る堂々の世界最高記録。演技終了直後には、銀盤の上でうれし涙を流した。「悔しい時に家で泣いたことはあるけど、人前で泣いたことはない」という浅田が初めて見せた涙には、大きな意味が感じられた。

 ちょうど1年前には、グランプリファイナルで優勝しながら年齢制限でトリノ五輪に出場できず、天国と地獄を味わった。当の本人は、この頃はまだ結果よりも演技を楽しむ気持ちの方が強かった。ところがトリノで金メダルを獲った荒川静香が引退したことで状況は一変、浅田に対する周囲の期待は一気に倍増した。ただでさえプレッシャーで押しつぶされそうなところに、成長期のため身長が5cm、体重も2kg増え、得意のジャンプでミスが目立つようにもなった。昨年後半からは、トレードマークのスマイルも見ることが減ってきた。そんな苦労を乗り越えての優勝だったのだから、涙が止まらないのも無理はなかった。

 2006年は、浅田にとって悩み苦しみ抜いた1年だったに違いない。だが、それを乗り越えた今、体だけではなく、心も立派な大人になった。3月の世界選手権はトリノ五輪銀のコーエン(米国)、銅のスルツカヤ(ロシア)の2人が欠場。最大のライバルのユナ・キム(韓国) も、ヘルニアで万全とはほど遠い状態だ。勝負の世界では「運も実力」が常識。このチャンスをしっかりものにすることが3年後のバンクーバー五輪につながることは、本人が一番よく知っているはずだ。

関連キーワード
浅田真央

ページトップ