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いまやあの曙に、プロレス業界が大絶賛。 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

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photograph byEssei Hara

posted2005/09/15 00:00

いまやあの曙に、プロレス業界が大絶賛。<Number Web> photograph by Essei Hara

「あれだけやれるなら、最初からプロレスをやればよかったのに……」

 関係者からそんな溜息が洩れたのが、8・21の東京・後楽園ホール。武藤部屋入りした曙の全日本デビュー戦のことだ。黒のボディスーツの背中に「64」、左太腿に「YOKOZUNA」の入ったコスチュームだ。曙が入場すると急にリングが小さく見える。推定体重220kgの巨体が圧倒的存在感で迫ってくる。

 150kgの嵐(元十両・卓越山)を相撲流のぶちかましで吹き飛ばし、若手の雷陣明をカエルのようにのばし、最後はすくい投げの姿勢からそのまま全体重を浴びせる必殺技64(第64代横綱から命名)でフォールを奪った。タッグとはいえ再スタートは白星で飾った。

 そればかりではない。曙はセミに出場した武藤親方のピンチも救ったのだ。乱入したパルンボ、スタンボリーの両外国人選手を場外に叩き出す大暴れ。TARUの毒霧噴射には、あらかじめ水中用ゴーグルを用意する周到な助っ人ぶりだ。これには満員の観客席ばかりではなく、各社カメラマンも、「絵になるね!!」と大喜びさせたのだった。とても初の本格参戦とは思えぬ適応性だ。そのセンスは素晴らしい。

 24日の岩手・大船渡大会から巡業に参加した曙。すべてが初体験だ。北海道からは選手用バスでの移動。故ジャイアント馬場さんが陣取っていた最前列が曙の席と聞く。あの“大巨人”アンドレと馬場さんが一緒に座っていた巡業の光景を思い出す。

 '90年2月の新日本・東京ドーム。ハルク・ホーガンばりのコスチュームでデビューした北尾光司には、ファンの拒否反応があったが、曙の場合はそれが見られない。選手からも好感を持って迎え入れられた。少なくとも道場での合同練習、後楽園の初戦を見た限りでは、K―1での黒星続きの悪いイメージを払拭しようと必死なのかもしれない。

 そんな曙を見る武藤親方。「デッカイっていいね。楽しくなる。世界タッグを狙わせるかな……」と暮れの看板イベント、世界最強タッグ・リーグ戦出場を匂わせる惚れ込みようだ。

 風貌、キャラクターから見て超大型ヒール誕生も期待できる曙。あくまで本人次第だが、期待度は極めて高い。

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