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ドジャースを選んだ
黒田博樹の「渇望」。 

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津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

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posted2008/01/17 00:00

 勝利への渇望が溢れ出た。3年3520万ドルでドジャースへの移籍が決定した後の会見で黒田博樹投手は「ドジャースを選んだ経緯は、本当に優勝を狙える球団だというのが一番」とキッパリ。家族のための住環境、温暖な気候も理由に挙げたが、思いは一貫していた。

 一昨年秋、「自分にとって何が一番大事かを考えた。今後の野球人生を考えたとき、『カープで優勝する』ということが最も高いモチベーションになる」とFA宣言せずに残留。だが、チームは10年連続Bクラスに喘いだ。FAの意思を示した昨年10月にも「球団には『優勝したい、そういう中で野球をしたい』と伝えた。今季はクライマックスシリーズに出るのが最低限の目標だったが、こういう結果になった。その悔しさが薄れていくのが怖い」と苦しい胸中を吐露。日本球界を代表するエースだが、実は高校、大学(1部)そしてプロを通じて優勝経験がない。決して長くはない野球人生において、古巣への愛着とアスリートとしての欲求との間で揺れ動いた末の決断は、必然の結果だったのかもしれない。

 黒田争奪戦で金銭面では劣っていたとされるドジャースだが、“優勝”したいという強い気持ちでは他球団を凌いでいた。「会ったときにも、本当に勝ちたいというのが言葉の端々から伝わってきた」と黒田に言わしめた首脳陣。ヤンキースを辞めたばかりの名将トーリを招聘し、10年連続ゴールドグラブで'05年には51本塁打の大砲A・ジョーンズも獲得。'08年シーズンはロサンゼルス移転50周年という節目でもあり、1988年以来のワールドシリーズ制覇へ向けて鼻息は荒い。

 また来季は、ドジャーブルーを身にまとった黒田と、ナ・リーグ日本人選手との対戦も目白押しだ。東都リーグで同学年だった井口資仁が同地区のパドレスに移籍し、カブスでは黒田と同様に大型契約を結んだ福留孝介や広島カープで元同僚だったA・ソリアーノもプレー。松井稼頭央や田口壮も同リーグにいる。「自分も相手もお互いを知っているぶん、やりにくい。基本的には対戦したくないけど、向こうでやっているバッターというのは日本でもトップレベルなので、そういう選手と対戦するのは楽しみでもある」と本人が言うとおり、黒田とのガチンコ対決から目が離せない。

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