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戸惑い続けるマーブリーが進むべき道はどこか。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

posted2005/12/08 00:00

 試合後、ステフォン・マーブリーはいつもより着替えに時間をかけていた。まるで家に帰ったら怒られるとわかっている子供が寄り道をするように、ゆっくりとネクタイを締め、宝石がちりばめられた時計を手首にはめ、最後には何もやることがなくなり、しかたなく待ち構えていた記者たちの前に立った。

 この日のロサンゼルス・レイカーズ戦でマーブリーは10アシストをあげたが、得点はわずか4。試合中もあまり存在感がなく、そしてニューヨーク・ニックスはシーズン8試合目にして6敗を喫した。何よりもマーブリー自身が自分のプレーに悩み、フラストレーションを感じていた。

 ニューヨークのストリート育ちのマーブリーは、28年間、自分がアグレッシブに攻めるところからすべてが始まるというスタイルでやってきた。それが新ヘッドコーチ、ラリー・ブラウンのシステムのなかでは徹底的にパス第一のポイントガードの役割を求められ、戸惑い、自分を失っていた。この日もブラウンから求められる通りのプレーをしたが、結果が伴わない。心の底で「これは違う!」と叫んでいた。ニューヨークのメディアの前でそんな本音を言えば、次の日の大ニュースになるとわかっていたから、試合中のように我慢して、慎重に言葉を選んで答えていたが。

 ブラウンはそんなマーブリーを「すばらしかった」と賞賛しながら、同時に「スクリーンを使ったプレーではもっとアグレッシブに」とさらなる注文もつけた。それを聞いて、マーブリーはますます戸惑った。アグレッシブになれば枠に入れといわれ、枠に入ればアグレッシブになれと言われる。いったいどうすればいいのか?

 レイカーズのロッカールームに、そんなマーブリーの理解者がいた。フィル・ジャクソンの手綱のもとで苦労した経験をもつコービー・ブライアントだ。

 「きょうのステフォンは早撃ちスタイルではなく、試合の流れを理解しようとしていた。ラリーも、ステフォンを次のレベルに上げるためにやっていること。今は我慢してやり続けることだ。いつか苦労が報われるときがくる」

 果たして「苦労が報われるとき」が先か、ブラウンとの決別が先か。それが今、ニックス・ファンの最大の関心事である。

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