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観客との一体感を生むサッカー専用スタジアム。 

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浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byTsutomu Takasu

posted2008/06/26 00:00

観客との一体感を生むサッカー専用スタジアム。<Number Web> photograph by Tsutomu Takasu

 5月下旬、南仏のトゥーロンへ出かけてきた。'00年以来、世代別代表が何度も出場しているため、日本でもすっかりおなじみになった、トゥーロン国際トーナメントの取材である。

 大会名称に「トゥーロン」とうたわれてはいるが、実際には「トゥーロンとその周辺」で開かれる。私自身、これまでに西はニームから東はニースまで、多くの町でこの大会を取材してきた。

 試合会場を訪れて驚かされるのは、山や海に囲まれた田舎町でさえも、サッカー専用のスタジアムがあることだ。また、それらがみなメインスタンドしかないことも多く、立派な施設とは言いがたいのだが、実に雰囲気のある佇まいなのだ。

 関東近郊で言えば、外観のイメージは、秋津サッカー場あたりが一番近いだろうか。地元クラブのホームスタジアムであると同時に、老若男女、サッカー好きの憩いの場にもなっている。

 翻って日本では、陸上競技場が幅を利かせているのが現状だ。

 現在、日本各地で、新たなクラブがJリーグ新規参入を目指す動きがある。ところが、クラブ組織や選手に絡む、ソフト面では活発な動きが伝わってくるものの、サッカー専用のスタジアムが新設される、というようなハード面での魅力的な話は聞こえてこない。

 費用面の問題もあり、県営や市営の陸上競技場を使えばいい、という発想がほとんどなのだろう。だが、スタジアムも含めて、クラブの魅力だ。Jリーグ創設時、日本リーグ2部だった鹿島が専用スタジアムを作ることで、参入に成功した話はあまりに有名だ。その後、11冠を達成するに至った鹿島の隆盛も、スタジアムの魅力と無関係ではないと思う。

 試合の臨場感は、サッカー専用スタジアムで観てこそ。陸上トラックは物理的にも精神的にも、ピッチとスタンドとを隔絶する。集客にも影響するのは間違いない。簡素なスタンドで構わない。むしろ、より一体感を生む効果があるかもしれない。まして、人口の少ない地方都市ならなおさらだ。

 新規参入を目指すクラブや自治体にお願いしたいのは、ハード面での充実である。それは決して贅沢などではなく、健全経営、地域密着など、あらゆる目標に向けて力となってくれるものである。

■関連コラム► From:横浜「スタジアムに格付けを。」【カンポをめぐる狂想曲】 (2007年12月18日)
► 球場で見る、マイナーリーグ (2005年9月26日)

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