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ベテランの連続優勝と
意外な共通点。
~アラフォーに教えられた忍耐力~ 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

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posted2009/06/23 06:00

ベテランの連続優勝と意外な共通点。~アラフォーに教えられた忍耐力~<Number Web> photograph by KYODO

 日本男子ツアーは、2週連続して無名のベテラン選手が優勝した。大洗ゴルフ倶楽部で開催された三菱ダイヤモンドカップでは、38歳の兼本貴司。2006年にシード権を失った彼は、中嶋常幸の門を叩き、出直しをした。

 翌週のUBS日本ツアー選手権では、40歳の五十嵐雄二が、プロ入り18年目でツアー初優勝を果たした。

難易度の高いコースで勝つことの意義。

 ふたりの優勝に共通していることのひとつは、開催コースの難易度。大洗も、宍戸ヒルズも距離が長く、しかも日本ツアーの中でも、最も難しいコースのベスト5に入る。そんな中で好成績を残すには、忍耐力が必要だ。通常のトーナメントならば、まずはいくつバーディを獲るか、という攻めのゴルフが中心になる。ところが、左右のラフが深く、林などが迫っている難コースでは、球筋をしっかりとコントロールでき、なおかつ、ショートゲームでの多彩な技術がものをいう。そして、できる限りボギーを叩かずにパーを死守するゴルフが要求される。

メンタルの成熟がふたりに優勝をもたらした。

 兼本は、中嶋のもとで「精神的な弱さと、球が曲がること」を克服しようとした。真っ直ぐにボールを打つ技術だけを求めるのではなく、4日間、72ホールという長い時間をかけて試合が行なわれる中で、どういう精神状態をつくればいいのか、ということを学んだのだった。

「若い時、ゴルフはとても易しく思える。そして君は大人になり、泣くことを学ぶのだ」というコメントは、1983年の全米プロ選手権のプログラムにあったロン・ローズという選手の言葉だ。

 五十嵐は、世間では無名だが、同僚の選手や周囲の人たちに、とても人気がある。それは彼らが、黙々と努力を惜しまず、毎日ゴルフに没頭している姿を見ているからだろう。かつてジャンボ尾崎を破って日本プロに優勝した合田洋のブログに、こんなことが書かれていた。

『沈思黙考の中ひたすらに、唯ひたすらに己を鍛え上げる器量に於いて、五十嵐雄二を越える男は皆無だ。その精神は“如何なる困難に対峙しようとも不屈”である』

 若手選手は、難コースに弱い。それは、美しい真っ直ぐなボールを求め過ぎるあまり、バーディではなく、パーを死守するという忍耐力を要するゲームが苦手だということかもしれない。

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