SCORE CARDBACK NUMBER

プロ契約廃止のヤマハ、
最後の意地を見せられるか。
~日本選手権出場へかける想い~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byNobuhiko Otomo

posted2010/01/08 06:00

プロ契約廃止のヤマハ、最後の意地を見せられるか。~日本選手権出場へかける想い~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

五郎丸のほか外国籍選手などプロ契約選手は17名。11節終了時点でヤマハは6位につける

 サックスブルーの応援旗が舞うバックスタンド。応援団への挨拶に向かう足取りは、いかにも重く見えた。

 12月19日の静岡・磐田。ヤマハ発動機にとってこのサントリー戦は、今季最後の地元開催試合。だが意味は、それだけにとどまらなかった。ヤマハは11月16日に「来季は正規社員のみのチーム編成で活動する」と発表。この日は、活動縮小発表から初めての地元試合でもあった。

 結果は、サントリーが51対13で圧勝。

「いろんな競技で、活動縮小が決まったチームは、最後に目に見えない力を出すことがある。それは注意してたんですが」

 試合後の会見で、サントリーの清宮克幸監督は、少し寂しそうに言うと「このスタジアムは素晴らしい。ぜひ来年もここでやりたい」と相手を気遣った。

『自分がなんとかしなければ』と必死にもがく選手たち。

 点差ほどの力の差は感じなかった。ヤマハは元オールブラックス主将のソーン、FL木曽一らが重厚なタックルを決め、日本代表のWTB松下馨、FB五郎丸歩らが果敢なランで相手防御を切り裂いた。

 それでもトライ数は8対1の大差。とりわけ、最後の15分間には4度もインゴールを明け渡してしまった。

 惨劇の始まりは後半25分。ヤマハは自陣のターンオーバーから細かくボールを繋いで五郎丸が抜け出すが、小野澤宏時のタックルを受け、相手ゴールまで10mと迫ったところで孤立して落球。そこからサントリー長友泰憲に、90mを切り返す逆襲トライを浴びたのだ。

「一発でトライを取ろうとする気持ちが強すぎて、ボールをキープできなかった」

 五郎丸は唇を噛んだ。その言葉は、明日の見えない中で『自分が何とかしなければ』という切実さの表れにも思えた。

ヤマハの魂を見せるべく日本選手権のワイルドカードを目指す。

「来季も強化は継続します」。ヤマハの山岸至GMは明言した。「プロで契約できなくなっても、社員として残ってもらって、一緒に挑戦を続けていきたい」。とはいえ、活動環境の詳細はまだ未定。五郎丸ら8人の日本人プロを含め、選手の不安は消えていないのが現状だ。

「今は、この仲間と1日でも長くプレーしたい。やっぱり愛着がありますから」と五郎丸は言った。トップリーグの10位以内には日本選手権のワイルドカード2枠を争うチャンスが残っている。9日の秩父宮。最終節のNEC戦で、ヤマハの魂をファンに見せてほしい。

■関連コラム► 助っ人ばかりが目立ったトップリーグ開幕戦。 (09/09/23)
► 2019年W杯は日本に! アジア初のホスト国の栄誉と宿題。 (09/07/30)

ページトップ