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ハミルトンを苦しめたライコネンの計算。 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2007/08/23 00:00

 3・3・3・2。チャンピオンシップ上位4人のうち1位L・ハミルトン(80点)、2位F・アロンソ(73点)、3位K・ライコネン(60点)が勝利数で並んだ。第11戦ハンガリーGP70周をスタートからゴールまですべてトップのまま走りとおしたハミルトン。狭く曲がり続けるハンガロリンク・サーキットでは、先行できた者がイニシアチブを取れる。正確なコーナリングラインを保てるメリット。クリーンエアによってマシン及びエンジン、それにタイヤもベストな状態を維持できるアドバンテージ。それだけドライバーのミスもメカニカル・トラブルのリスクも起きにくくなる。

 直線は800メートルに満たず、あとの約3500メートルはコーナーが連続する。ギアチェンジ回数は概算で一周50回以上、レース全体では3500回に達する。新人ハミルトンは最後までフェラーリのK・ライコネンにプレッシャーをかけられ、背後0.5秒差にまで詰め寄られた。しかしここでは追ってくるほうがハイリスクを背負っている。マクラーレンMP4―22の後方乱気流をもろに浴び、ライコネンのフェラーリF2007はときどきダウンフォース・バランスを失いかけ縁石まではみ出していた。しかしそれでも瞬時に適切なコントロール・テクニックを見せ付けたライコネン。最終周には1分20秒047という自分の予選ベスト(Q2時の軽いタンク容量でのアタック)より0.060秒速い最速タイムで追った。僕はいかにもライコネンらしいなと思った。今の規定ではこの同じエンジンのまま次戦トルコGPを走るのだから、無理せずに流せばそれでいい。でもプッシュしたのは残り6レース、今後どこかで再びマッチレース対決になったとき、自分はどこまでもこういう勝負をしかけるドライバーなのだと悟らせるためだろう。

 ハミルトンはこれでアロンソ、マッサ、ライコネン全員とマッチレースを体験したことになる。直接対決を通じて初めて敵の強さも弱さもつかみとれる。ハンガリーGPの前の大雨ヨーロッパGPではアクシデントに苦しんだが、第11戦で3勝目を挙げ強敵アロンソ、ライコネンと並んだ。ふたりへの宣戦布告。快活にインタビューでしゃべる22歳の若者はますます攻撃性をあらわにしている。

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