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和田一浩、FA宣言。悩める男の決断は? 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2007/11/29 00:00

 選手がFA移籍を決断する理由は様々である。メジャーを目指すものもいれば、西武から巨人に移籍したときの清原のように、かねてから希望していた球団に誘われる場合もある。また、球団の評価に不満があり、よりよい待遇を求めて巨人に移籍した豊田清のような例もあれば、恩人の下でもう一度プレーしたいとソフトバンクに戻った小久保裕紀などの例もある。

 そのどれにも当てはまらないのが、先日11月9日にFA宣言した西武の和田一浩かもしれない。

 今季は福留孝介(中日)、黒田博樹(広島)、小林雅英(ロッテ)など9人がFA宣言したが、和田は他の選手たちと違ってメジャーを視野に入れていない。西武ひと筋11年、もともと捕手として入団した男は、その打撃力を生かして外野手に転向し、チームの攻守の要となった。西武の主軸としての責任感と、新天地で自分を試したいという気持ちの狭間で、悩んでいるように見える。

 昔から西武はマネーゲームを嫌い、FA宣言をした石毛宏典、工藤公康、清原、豊田などのスター選手が、続々と流出した。今回、後藤高志オーナーは和田の引き留めを明言してはいるが、FA宣言をすれば、過去の状況から西武を去ることになる可能性は高い。だが、彼が最終的に出した結論は、「自分が獲得した権利を行使しなければ、野球人生に悔いが残る」というものだった。

 かつてFA宣言した松永浩美は、「自分のようにドラフト外で入団した人間は契約金もなかった。ようやく手にした権利を使いたかった」と言った。和田にしても今回のFA宣言にあたって、いろいろと考えを巡らせたことだろう。最後に背中を押したのは、「師匠」と慕っていた伊東勤監督が辞めたことだろうか。

 和田獲得には、日本一となった中日が名乗りをあげている。福留孝介のFA移籍が濃厚だし、故郷が名古屋に近い岐阜であることを考えると、受け入れられやすい環境ではある。しかし、和田は宣言前に、しみじみとこう言っていた。

 「本当はFA宣言しなくてすめばよかったんですけどね」

 求心力の乏しい球団となった西武。それでも愛着はある。悩める男は、果たしてどんな結論を出すのだろうか。

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