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輝かしく花開いた、天才少女・池田久美子。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

posted2006/07/24 00:00

 陸上の日本選手権(6月30日〜7月2日・神戸)が終了した。池田久美子(スズキ)と花岡麻帆(office24)の対決が注目された女子走り幅跳びは、6m75の池田が6m60の花岡を破って2年ぶり3度目の優勝を飾った。池田は5月3日の静岡国際で6m75を跳び、来年の世界選手権(大阪)参加標準記録Aを突破。5月6日の国際グランプリ大阪大会では6m86の日本記録を樹立するなど、まさに絶好調の状態が続いている。

 山形の酒田三中時代に6m19を跳び、天才少女と騒がれた池田。その後伸び悩んだ時期もあったが、ここ数年は順調に記録を伸ばしている。

 池田の課題は、助走のスピードがなかなかジャンプにつながらないところにあった。走力がないため、踏み切りの1歩手前で減速してしまう。そのため、昨冬は走法を改良して走力アップに取り組んだ。腹筋を強化し、骨盤を安定させて走るようにした結果、走力が増して助走のスピードがそのまま前方への跳躍力につながるようになった。

 精神面での成長も大きい。幼い頃から二人三脚で歩んできた父・実さんが'05年2月に他界。ショックは大きかったが、いざという時に頼れる存在を失ったことで、逆に「一人で頑張らなくてはいけない」という強い精神力が身に付いた。また、それまでは技術にこだわりすぎて「どうすれば跳べるのか」に頭を悩ませてきたが、最近は「あまり考えすぎるのはよくない」に変わった。走力がどんなについても、踏み切る直前の減速が100%解消されることはない。どんなに練習をしても、完璧な助走やジャンプをすることは不可能だ。今のままで6m86が跳べたのだから、それでいいのではないか。そう思うようになってから、コンスタントに記録が出るようになったのだという。

 今回の日本選手権では、来年の世界選手権を意識したシミュレーションも行った。最初から無理に記録を伸ばそうとせず、前半3回で6m60台を出し、後半3回で6m70台を狙う。決勝では、前半に上位8人に残らないと後半に進めない。スタミナ配分を考えての作戦だったが、すべてが計画通りに進み「想定通りにできました」と満足そうな笑みを見せた。大人になった天才少女は今、心から大好きな跳躍を楽しんでいる。

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