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エース上野由岐子の力でアメリカを倒せるか。 

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藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

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posted2006/08/31 00:00

 '08年8月の北京五輪まで、いよいよあと2年となった。各競技とも、出場権を争う予選会は来年から本格化するが、先頭を切ってまず、8月27日から女子ソフトボールの予選が北京で行われる。世界選手権を兼ねたこの大会で4位以内に入れば五輪切符を獲得できるが、'00年シドニー五輪で銀メダル、'04年アテネ五輪でも銅メダルを獲得している日本の目標は、王者米国を倒しての優勝だ。

 180cmを超す長身サウスポー、オスターマンを中心とする米国は現在五輪で3連覇、世界選手権では5連覇と圧倒的な強さを誇る。主軸に左打者が多い日本は、今回も米国の強力投手陣を打ち崩すのは難しいだろう。勝つためには、まず相手に点をやらないことが絶対条件であり、エースの上野由岐子(日立&ルネサス高崎)にかかる期待は大きい。

 110kmを超すスピードボールを持つ上野は、九州女子高に在籍していた'00年にも日本代表候補になったが、体育の授業中に腰の骨を折る重傷を負い、無念の涙を流した。4年後のアテネ五輪では日本のエースに成長したが、今度は初めて体験する強烈なプレッシャーに押しつぶされ、体調不良もあって本来の力を発揮できないまま終わった。それだけに北京に懸ける思いは誰よりも強い。

 国内ではライバルと呼べるような存在がおらず、モチベーションを高めるためにアテネ五輪後は何度も米国に短期留学して腕を磨いた。その甲斐あって、昨年のUSAカップとジャパンカップでは見事に打倒米国を果たしたが、左脇腹の肉離れから復帰したばかりの7月のW杯決勝では、初回に守備の乱れから2点を失うと、4回には2本の本塁打を浴び、2―5で完敗。米国も北京五輪を目指して着々と戦力を整えており、今大会でも倒すのは容易ではない。それでも日本のエースは「去年のいいイメージは自分の中にある。投げる以上は絶対に負けられない」と闘志をかき立てている。

 国際オリンピック委員会(IOC)は昨年の総会で、'12年のロンドン五輪から野球とソフトボールを除外することを決めており、選手たちにとっては次の北京五輪が最後の晴れ舞台となる。もしそこで世界中をうならせるような熱戦を見せられればIOCが再考する可能性もゼロではないだけに、奮起が期待される。

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