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岩村明憲が愛する
日本野球と演歌の心。 

text by

津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2009/03/12 02:00

岩村明憲が愛する日本野球と演歌の心。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 八代亜紀や吉幾三といった渋いラインナップの演歌が次々とステレオから流れてくるなか、バットを懸命に振り込む。タンパベイ・レイズ、岩村明憲の自主トレ風景だ。

 「昔からおばあちゃんっ子だったこともあって、『矢切の渡し』とか『さざんかの宿』を幼稚園の頃から一緒に聴いていたんです。演歌は日本の心を代表しているし、向こう(アメリカ)に行って余計に聴くようになったかもしれないですね」

 打席に入る時のテーマソングは矢沢永吉の『HURRICANE』だし、コブクロ、EXILEなどヒットチャートに上がる曲ももちろん聴くが、タンパで乗る自家用車のカーステレオでも流すほど演歌は身近なものとしてある。

 メジャー2年目にして昨季は、弱小レイズをワールドシリーズに導いた中心的存在となり、充実したシーズンとなった。今年は球団史上初のワールドチャンピオンが目標になるが、その前にWBC日本代表として、もうひとつの世界一も目指すことになる。「メジャーリーガーとして日本に戻り、JAPANのユニフォームを着て野球ができるのは大きな喜び。その気持ちを抑えるのが大変ですよ」と岩村。宮崎での代表合宿ではユニフォームだけでなく、ストッキングやグラブにも日の丸を入れて、身も心もニッポン野球に染まる日々だ。

 合宿を翌日に控えた2月15日、右翼のイチローと並んで二塁手として固定することを、他のどの選手よりも早く原辰徳監督が明言。さっそく岩村は、頭に叩き込んだサインプレーの確認作業を実戦で行なったり、連日の居残り練習で二遊間の連係プレーなどに多くの時間を割いていた。「ここに名を連ねているのは素晴らしい選手ばかり。試合を重ね、イニングを重ねていけば、ヒロユキ(中島)だろうがムネ(川崎)だろうがヤス(片岡)だろうが、自然に呼吸は合ってくると思う。こういう僕ら内野の機敏な動きは、なかなかメジャーにはない。それが日本人プレーヤーのいいところだし、そういうもので少しでも失点を少なくできたらいいんじゃないかと思っていますね」

 離れたからこそ、その良さを改めて思い知る。演歌と同じように、岩村はニッポン野球の素晴らしさを今、心から楽しんでいる。

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