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「本場」のリザーブマッチを見ながら考えたこと。 

text by

永井洋一

永井洋一Yoichi Nagai

PROFILE

posted2004/12/02 00:00

 秋のイングランドでチェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナルの試合を観戦し、それぞれのホームスタジアム近辺も取材した。3チームとも100年の伝統の中で地域に根づきつつ、近代的なスポーツビジネスのシステムの中でも成功を収めている。その姿は、クラブ経営の目指すべき一つのモデルかもしれない。

 ミッドウィークには、そうしたビッグビジネスの成功とは別の視点から、チームづくりの環境を考えさせられた。ロンドン郊外でトッテナム・ホットスパー

vs.ポーツマスのリザーブマッチを観戦したのだが、会場はセミプロ中心の全国リーグ(日本で言えばJFLか)に所属するスティーブニッジというクラブのスタジアム。満員でも4000人という、こぢんまりした会場につめかけたのは、ウィークデイのナイトゲームということもあってか200〜300人程度。それでも有料チケットが販売され、警備の人員が配備され、売店ではハンバーグやチップスが売られて、「正式なゲーム」という体裁が整えられている。

 ホストクラブとなったスティーブニッジも週末になれば、いつかはプロリーグに、果てはプレミアにと夢を抱きながら、地元サポーターと一体になってリーグを闘っている。小さなスタジアムだが、放送ブースもVIPルームも、チームのグッズが売られるショップも一通り揃っている。まさに「おらがチームの城」といった風情だ。スパーズの関係者によれば、プレミアのクラブは、こうしたリザーブマッチなどで地方のクラブを訪れて試合をし、多少なりとも弱小クラブの経営を助けるのだという。稲本潤一も今、スタメン入りを目指しつつ、「ジャパニーズMF」目当ての観客を集めて地元に貢献しているのだろう。

 Jリーグ百年構想には、「日本中に100のプロチームを」という理想が掲げられている。100チームとは大言壮語のようだが、要はこのスティーブニッジのようなチームが全国各地にできればいいということだ。現在はJFL、あるいは地域リーグ、都道府県リーグで健闘している名もなきチームが、それぞれ数千人収容のホームスタジアムを持ち、しっかりと地域に根を下ろした活動をしつつ、将来のJリーグ入りを目指す環境が実現するのはいつのことだろうかと、イングランドの夜気に震えながら考えた。

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