SCORE CARDBACK NUMBER

評価されない連続KO。牛若丸の挑戦は続く。 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

PROFILE

posted2007/10/04 00:00

 鼻と口からの出血で顔面を真っ赤に染めながらも強気で攻め続けた。ファルカド・バキロフに8回TKO勝ちし、浜田剛史の持つ15連続KO勝ちの日本タイ記録をマークした牛若丸あきべぇ(22歳)。「これで男になれました」「日本一の倒し屋と証明できた」と、熱いコメントが口をついて出た。

 連続KO──ボクシングのあらゆる記録の中でも、これほど華麗で、かつファンがなかなか評価したがらない記録もあるまい。連続KOで脚光を浴びる選手が出てくると、まずファンは「本物かね」と疑いの目を向ける。実際やろうと思えば“噛ませ”と対戦し続け、記録更新も不可能ではないし、過去に「作られた記録」も少なくなかったからだ。

 連続KOの世界記録はラマー・クラークという白人ヘビー級が、半世紀近く前に樹立したものだが、いまは専門メディアもほとんど触れたがらない。クラークは月に何度も戦い(最高で10度!)、時に一日に6度も試合をするなど、作られた記録が見え見えだったからである。

 あきべぇの場合も、一時協栄ジム所属のまま亀田家の一員として記録を伸ばしたものの、「安易な相手ばかり選んでいる」という批判が少なくなかった。そこで協栄ジムは、亀田家から“卒業”させ、強敵と対戦させるハード路線に方向転換。その第一戦としてバキロフをウズベキスタンから呼んだのである。もっとも、200戦をこすアマ歴を誇る技巧派も、明らかな練習不足で最初から足元がフラついており、そんな35歳のロートルのジャブ、左ストレートを何発も浴びたあきべぇの防御技術の改良は「今後の課題」ということで関係者の意見は一致している。

 なかなか評価されないのは、連続KOを売り物にする倒し屋の宿命でもある。早い話、18連続初回KOの世界タイ記録を達成したエドウィン・バレロも最初はマユツバで見られていた。今22連続KOと記録更新中のバレロの実力を疑う者はいない。今後浜田やバレロのように世界チャンピオンになった時に、あきべぇの記録も評価されるのかもしれない。そこは本人も覚悟しており、新記録のかかる次戦はタイトル挑戦を熱望している。

 「敷居の高い記録ですが、塗り替えてみせますよ」。強打と怖いもの知らずの強心臓でどこまで倒しまくるか、注目だ。

ページトップ