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かつての師が見抜いた
ダルビッシュの不安要素。
――佐藤義則の存在感 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNaoya Sanuki

posted2009/04/22 07:00

かつての師が見抜いたダルビッシュの不安要素。――佐藤義則の存在感<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 WBC優勝の興奮が覚めやらぬ4月3日。侍ジャパンの面々はそれぞれの思いを胸に、開幕を迎えた。

 クローザーとして決勝戦に登板した日ハムのダルビッシュ有は、オープン戦に2イニング登板し開幕に備えていた。試合前「先輩を立てますから」と対決が予想される楽天の岩隈久志に妙に気を使っていた。その姿が開幕戦の試合展開を暗示していたのかもしれない。

 楽天にはダルビッシュのことを誰よりも知る男がいた。今年から楽天の投手コーチに就任した佐藤義則である。かつてコーチを務めていた日ハムで、ダルビッシュを育て上げた名伯楽だ。

 試合前、野村監督から野手ミーティングに出席するように言われ、ダルビッシュの癖や性格を、楽天選手たちに伝えたという。投手コーチでありながら、野手のミーティングに参加できるのは、風通しが良く強いチームの証拠。そこで佐藤はこんなことを言っていた。

「器用でいろんな球種を投げたがるタイプのダルは、立ち上がりに同じ球種を続けない。早いカウントから積極的に打っていったほうがいい」

 その言葉通り、楽天の選手たちは立ち上がりのダルビッシュに襲い掛かった。

 ワンアウトこそ取ったものの、セギノールにストレートの後の変化球をライトスタンドに叩き込まれ、たった7球で3点を失ってしまった。

剛と柔。ふたりのピッチャーの名勝負で熱くなれ!

 開幕して初めてのマウンド。1イニングを終えるまではどんなベテランでも不安になるという。ダルビッシュのような実績を残した選手も、例外ではなかったのである。

 昨年の北京五輪、WBCの韓国戦と初回の立ち上がりに不安を抱えたままのダルビッシュだが、今年の開幕戦で払拭したいという思いもあったのだろう。121球で完投こそしたものの、白星を挙げることはできなかった。

 一方、オープン戦に一度も登板しなかった岩隈は、打たせて取るピッチングで6回を投げきり、楽天に開幕戦勝利をもたらした。

 日本が誇る両エースの戦い。今年初めての対決は岩隈に軍配が上がったが、「剛」のダルビッシュ、「柔」の岩隈の味わい深い投球を中心に、今季のパ・リーグは展開していくことになるだろう。

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