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チームカラーが変わり、明るいボストン絶好調。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2004/05/06 00:00

チームカラーが変わり、明るいボストン絶好調。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 「変わったのは、伸ばし放題にしているオレの不精ひげとロングヘアーだけだよ」

 と、ジョニー・デイモンは人懐っこい笑顔をみせて髪の毛をかきあげた。本拠地フェンウェイ・パークの古色蒼然としたクラブハウス。ここに足を踏み入れるたびに'30年代か'40年代の映画のセットに紛れ込んだような錯覚に陥るのだが、同時に長年ずっと、ある種の冷ややかさが気になっていた。ところが、昨年あたりから変化が感じられ、今年はクラブハウスの空気がさらに柔らかくなっていた。そのことをデイモンに聞いてみたのだ。彼はジョークで煙に巻いたが、間違いなくレッドソックスのムードは変わった。少なくとも、昨年のリーグ優勝戦でのショッキングな敗北など、すっかり忘れ去られたかのようだ。

「ケビン・ミラーが昨年移籍したときから、チームのムードが変わっていたのは確かだ」

 と、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストであるジョージ・ベッシー氏も指摘する。

「レッドソックスといえば、テッド・ウィリアムスの時代から、『無駄口を叩くな、プレーに専念しろ』という方針で戦ってきたチーム。それはカール・ヤストレムスキーを経て、ノマー・ガルシアパーラに至るまで伝統として守られていた。ところが、お祭り男のようなミラーの加入で、個性を押し殺してきたような選手たちが、それぞれのキャラクターを見せ始めた」

 デイモンの風貌の変化などは、その代表的な例だ。また、その象徴的な出来事が昨年、ミラーのアイディアで事実上のチームのスローガンになり、チームとファンを一体化させることになった“カウボーイ・アップ”(頑張れ、くじけずに負けるな、の意)という表現の大流行である。今年も、ミラーやトロット・ニクソンのロッカーにはステッカーがベタベタと貼られている。

 永遠のライバル、ヤンキースとの第1ラウンドとなった地元での4連戦で3勝1敗と勝ち越したレッドソックス。移籍のカート・シリング、キース・フォークが期待通りの働きをみせ、テリー・フランコーナ新監督の十分なチーム掌握ぶりも示した。

「まだ、始まったばかりだよ」

 と、デイモンは“バンビーノの呪い”とは無縁の明るい笑顔をもう一度みせていった。

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