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ディープインパクト有馬記念参戦の理由。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byShigeyuki Nakao

posted2005/11/24 00:00

ディープインパクト有馬記念参戦の理由。<Number Web> photograph by Shigeyuki Nakao

 シンボリルドルフ以来、史上2頭目という大快挙。無敗での3冠を達成したディープインパクトの次走が、有馬記念(12月25日、中山、芝2500m、GI)に正式決定した。これは翌日の一般紙にも報道されたほどで、競馬マスコミの枠を超えた注目を集めているのがわかる。

 「たとえば運動に出る時間がいつもより5分でも遅れたら、なにかあったんじゃないかって、記者の人たちが集まってくるでしょう。下手な仕事をしたら、次の日の新聞に載っちゃうわけで、毎日が身の引き締まる思いです」と、担当の市川厩務員。ガラス細工にもたとえられるサラブレッドを、ここまで無事に持ってきただけでも素晴らしいことだが、この先は神経をさらにすり減らす仕事になるというのも目に見えている。武豊騎手が言った、「いまのディープがここにいるのは、池江泰郎先生とそのスタッフの、高い技術と熱い情熱の賜物です」という言葉が、現場にいると実感として伝わってくる。

 ジャパンカップをパスするのは、体調面の理由ではないはずだ。菊花賞の翌週に市川厩務員と池江調教助手に引かれて運動する姿を見たが、毛艶は抜群で歩様も文句なし。馬自身は走り足りないと言いたげなほど、元気一杯だったからだ。

 発表が天皇賞の翌日だったことが決断の大きな鍵なのではないか。前半の1000mが62秒4という超スローで流れた特異なレースになったとはいえ、逃げたストーミーカフェ以外は全馬が33秒台以内の上がり時計。上位馬のほとんどが32秒台だったというその数字に、池江泰郎調教師はギョッとしたのではないか。あの競馬にディープが参加していたとして、いつもの競馬をしていたら多分届かなかった。大外を回って31秒台は無理な数字だし、馬群を割ろうにもみんなが33秒ソコソコで伸びているのだから、それも正直難しかったろう。スローペースはつまらないという声はあるが、少なくとも筆者は、刻まれた後半のラップに古馬一線級の戦いの厚みを感じている。極限のスピードでの我慢比べになっても脱落する馬がいない、というのは凄いことなのだ。

 ディープインパクトといえども、初の古馬との対戦は低くない壁になる。それでもあっさり勝つようなら、夢は果てしなく広がる。

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