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アメリカ戦の黒星で一皮むけた藤川球児。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2006/07/04 00:00

 WBC出場組は、シーズン序盤、疲れと達成感からか調子の上がらない選手が多かった。そんな中、交流戦終了時点で防御率0点台という阪神・藤川球児の安定感は一際目立つ。

 WBC2次リーグ、アメリカ戦の経験は大きかった。9回から登板し、一死満塁のピンチを招く。ケン・グリフィーJrから三振を奪ったものの、最後はAロッドにサヨナラヒットを打たれ負け投手。よほど悔しかったのか表彰式では、役員が一人おきに渡すことになっていた金メダル授与を、飛ばされたと勘違いしてこう言った。「働かない人にはくれんのですか」

 藤川の名が全国区になったのは昨シーズン。物議をかもした清原との対戦がきっかけだった。大量リードしていたにもかかわらずフォークで三振を奪い、清原が激怒。「力で抑えきるピッチャー」を目指したのは、それからだ。

 WBCでも力勝負を挑み、グリフィーを三振に切ってとり、Aロッドのバットをへし折った。「結果的にAロッドに打たれたけど、攻める大切さをあらためて肌で感じることができました」と言い、一皮むけたことを感じさせた。帰国した時、チームの仲間たちからは「あんなすごいバッターと対戦できてうらやましい」と声をかけられた。あの時の緊張感を思い出せば、日本のマウンドでも集中できる。

 6月17日のオリックス戦で、清原和博との対決があった。藤川は力勝負を挑む。初球、152kmで空振りさせると、最後は150kmのストレートで平凡なセンターフライ。清原に「完全に力負け。ボールがうねって火の玉みたいやった」と言わせた。だが、本人は満足しない。「次は三振をとりたい」とオールスターでまた対戦できることを楽しみにしている。

 今季、藤川の速球に力強さが出てきたのは、もう一つ要因がある。マウンドで構える時、背筋を伸ばすことを心がけたのだ。「ちょっとしたポイントなので今まで気がつかなかったんですけど」と藤川は言うが、これで速球の威力が増した。

 阪神のブルペンには高知商の先輩、中西清起投手コーチがいる。中西からは「お前が中継ぎでいてくれるから後ろが生きる」といつも頼りにされている。

 力勝負にこだわるホールド王に、虎ファンは連覇の夢を見る。

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