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W杯初戦から始まる、新たなライバル物語。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byTamon Matsuzono

posted2006/06/08 00:00

W杯初戦から始まる、新たなライバル物語。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

 ジョシュア・ケネディ。久しぶりにその名前を聞いて、5年前を思い出した。オーストラリアの隠し玉として、にわかに注目を集めるこの長身FWとは、日本は'01年のワールドユース一次リーグ初戦で対戦。194cmのヘディングの落としから、決定的な2点目を奪われ、敗れている。これが響いて、日本は決勝トーナメント進出を逃したのだ。

 今回のワールドカップでも日本は、そのときと同様、オーストラリアと一次リーグ初戦で対戦する。だが、そんな因縁めいた組み合わせも、ワールドカップの一次リーグで実現するのは、これが最初で最後。すでにオーストラリアのAFC加盟が決まり、次回以降は、もし揃って本大会に出場しても、それぞれ必ず別グループに振り分けられるからだ。

 これからのオーストラリアは、日本が世界で顔を合わせる相手ではなく、世界へ出て行くために通らなければならない関門となる。3年後には、ワールドカップ出場をかけて、シドニーで日本とオーストラリアが対戦。そんな状況も当然起こりうる。そして、日本の4大会連続出場が阻まれ……、などということさえ。

 これを、悲観的観測とばかりは言っていられない。先ごろ行われたアジアU―19女子選手権では、U―20女子ワールドカップ出場権をかけた3位決定戦で、日本はオーストラリアに敗れている。早くもアジアの貴重な1枠が、ニューカマーに持ち去られたのだ。AFCの勢力図は、すでに書き換え始められている。

 今年は7月以降に、女子、U―17、U―20、それぞれのワールドカップ・アジア予選を兼ねた大会が開催される。組み合わせの関係上、日本とオーストラリアが世界行きをかけて戦うことになりそうなのは、女子の予選くらいだが、これから先、そんな状況は嫌でも増える。

 「向こう30年間、日本には勝てないと思わせるくらいの勝ち方をしたい」とは、WBCのときのイチロー。6月12日に行われる1試合の結果が、向こう30年も効力を持つとは思わないが、それでも日豪戦の最高峰、A代表同士のガチンコ勝負で、日本強し、の印象を植えつけておくに越したことはない。

 一次リーグ突破を占う重要な初戦は、アジアにおける新たなライバル史のプロローグでもあるのだ。

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