SCORE CARDBACK NUMBER

ジョンソンHCが作る、特製の“マブス・スープ”。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

posted2006/05/08 00:00

 ダラス・マベリックスのヘッドコーチ、エイブリー・ジョンソンを見るたびに、コック帽をかぶった姿が頭に浮かぶ。10年近く前、まだ現役選手だったときのコメントが印象的だったからだ。

 「チームはガンボ(アメリカ南部の伝統的なスープ)と同じ。材料を揃えて鍋に入れるだけではだめで、時間をかけて煮込んではじめて美味しいガンボになるんだ」

 ニューオリンズ出身のジョンソンはガンボが大好物。シーズン途中でマブスのヘッドコーチとなった昨季、プレイオフでフェニックス・サンズに敗れたあとにも、またガンボの喩えを出していた。

 「ガンボは2日目のほうが美味しい。このチームも2年目には、さらに煮込まれ、もっとよくなると思う」

 1年かけてジョンソンが煮込んだマブス・ガンボは今シーズン、最後までサンアントニオ・スパーズとカンファレンス首位を争うチームに成長した。ただ単にレギュラーシーズンで好成績をあげるだけでなく、この数年課題にあげられていたディフェンス力をつけ、タフでプレイオフでも勝ち抜けるチームになってきた。

 パット・ライリー(マイアミ・ヒート・ヘッドコーチ)は「あのチームはエイブリー・ジョンソンの個性を反映したチームだ」と、今季のマブスを評した。前向きでエネルギッシュ、負けず嫌いでタフ──現役時代から変わらぬジョンソンの個性だ。ドラフト外でNBAに入り、'90年代後半にスパーズに定着するまでジャーニーマンだった苦労人。選手のころからリーダー格で、たとえチームメイトに対する批判でも率直に口にする熱い人だった。コーチになってからも、求めるディフェンスをしない選手は、たとえエースのダーク・ノヴィツキでもベンチに下げる。ふだんから選手の心をつかんでいるからこそできることでもある。

 そんなジョンソンのリーダーとしての素質を早くから認めていたのがスパーズのヘッドコーチ、グレッグ・ポポビッチだ。2人をよく知る人たちは、完璧主義のジョンソンのコーチングはポポビッチのコーチングそのものだという。

 そして今年のプレイオフ、両チームが順当に1回戦を勝ち抜けば、2回戦で師弟対決が実現する。誰よりもこの対戦を楽しみにしているのは、ジョンソンとポポビッチの2人かもしれない。

関連キーワード
NBA

ページトップ