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W世界戦で導入された、“途中公開制”の今後。 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2006/12/07 00:00

 日本武道館のダブル世界タイトル戦は、バンタム級の長谷川穂積、ミニマム級のイーグル京和と、いずれもチャンピオンがメキシコの挑戦者に判定勝ちし、ベルトを死守した。

 結果は予想通りとはいえ、内容は波乱の連続だった。イーグルは打たれ脆い挑戦者ロレンソ・トレホを3回の右一発で倒し、KO防衛を期待されながら、6回には逆に2度のダウンを奪われ、あわや王座陥落の危機に瀕した。長谷川も2度ダウンを奪いながら、1位挑戦者へナロ・ガルシアに苦しい流血戦を強いられた。前戦でタイのウィラポンを一撃で沈めた右カウンターも、この夜はタフなガルシアを10秒間眠らせるだけの威力を発揮できず。両王者とも前戦がよすぎただけに、今回は不本意だったかもしれない。イーグルは消耗の激しかったマヨールとの死闘の影響も懸念される。

 一方、不利を予想されながらもしぶとく最後まで戦い抜いた2人のメキシカン・ファイターには敬意を表したい。一流でなくとも、世界王者相手に善戦してみせる──改めてアメリカに並ぶ世界のボクシング強国の底力を見せつけられた。

 ところで、このダブル世界戦からWBCが認めた「オープンスコアリング・システム」が初めて導入され、4、8回の終了後に場内アナウンスと電光掲示板で途中採点が公表された。これで亀田―ランダエタ戦のような判定トラブルが一掃されるとは思えないが、日本では概ね好評だったようである。

 戦術的に大きな影響が出るのはいうまでもない。特に終盤、公式採点で負けていると分かれば、死に物狂いで攻勢をかけるだろうし、逆に優勢の選手は残りの数ラウンドを“安全運転”に徹するかもしれない。今回の長谷川も、8回までの採点で、4、5点差で優勢と聞き、「このままいけば勝てると思った。少し油断があったかも」と正直に語っている。

 このシステム、国際的には導入に消極的なところもある。ジャッジに対するプレッシャーが強まることも反対理由の一つ。今回は地元選手優勢だったから観客もおとなしかったが、逆に8回終了時に僅差で劣勢だったらどうか。かつて、審判が狂信的な観客に襲われるという暴挙もあった。不測の事態にも備えなくてはならないのだ。

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