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日本サッカーが嵌るパス偏重という罠。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byShinji Akagi

posted2007/09/06 00:00

日本サッカーが嵌るパス偏重という罠。<Number Web> photograph by Shinji Akagi

 アジアカップ取材を終えて帰国してからはしばらく、クラブユースU―18選手権をはじめ、若い世代の試合を見る機会が多かった。あらためて感じたのは、選手の特徴や戦術によって多少の差異こそあるものの、やはり日本にはパスをつなぐサッカーを志向するチームが多い、ということである。

 それ自体は日本のサッカーの特徴でもあり、決して悪いことではない。ただ、試合を見ていて気になったのは、あまりにもパスをつなぐことが前提になりすぎている、ということだ。

 例えば、攻撃側の選手が前を向いてボールを持つ。そのとき、前に相手選手が立っているだけで、直ちに横パス、あるいはバックパスに切り替えてしまうのである。守備側の対応が少し遅れたり、甘かったりしていても、だ。〈守備側の選手が前にいるとき、攻撃側の選手は仕掛けてはいけません〉。まるでそんな暗黙の了解でもあるかのように見えてしまう。

 当然、暗黙の了解は守備側にも影響する。ユース年代でさえ、多くが組織的なゾーンディフェンスを操る一方で、どうせ相手はパスだからと、タイトな1対1の守備をしない(できない)。守備側が厳しく寄せてはこないのだから、攻撃側はもっと仕掛ければいいものを、こちらもそうはせず、あくまでパスで……といった具合に、試合は進んでいくのである。

 A代表がアジアカップで4位に終わり、その原因として、とりわけ仕掛け不足が指摘されている。だが、それは何もA代表だけの、しかも攻撃だけの問題によるものではなく、日本全体の習慣や体質が表れた結果だと考えていい。日本選手が1対1どころか、ふたりで相手を挟み込んでいるにもかかわらず、ボールを奪えずに抜かれるシーンは少なくなかった。

 8月18日、U―17ワールドカップが開幕した。初日、地元・韓国を破ったペルーのサッカーには、1対1の激しい攻守が溢れていた。攻撃では、強引にでもドリブルで仕掛ける。守備にしても相手の前に立てばいいというのではなく、厳しく体を寄せ、何度も足を出し、ボールを奪うという本来の目的に忠実だった。

 パスサッカーは日本の特徴である。だが、その都合のいい面だけを見てしまうと、ハノイで浮かび出た問題の解決は遠のいてしまう。

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