SCORE CARDBACK NUMBER

W杯最終予選を見る時に忘れてはいけない視点! 

text by

杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2005/02/17 00:00

W杯最終予選を見る時に忘れてはいけない視点!<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 この原稿は、カザフスタン戦の翌日に書いているのだが、メディアの騒ぎぶりは相変わらず凄い。某スポーツ紙は、某解説者兼評論家が執筆するコラムを超激辛と称し、バランスの維持に努めていたが、わざわざ超激辛とカテゴライズするところに、他の記事の超激甘ぶりが浮き彫りになった。

 対カザフ戦。横浜国際に詰めかけた観衆は4万6000人で、空席は2万を超えていた。関心が低いわけではない。それでもカザフ戦を欠席するという現実は、大人のファンが増えたことの証拠だ。12年前、8年前の最終予選と今回とは明らかにワケが違う。現在のアジア枠は4・5。ドーハの悲劇は枠が2であったからこそ語り継がれるドラマなのであり、またジョホールバルにしても、3・5枠に滑り込み、初出場を果たしたからこその感動だった。

 当時を体験した者には、今回の出場枠がとても緩く見える。予選突破は目標でも何でもない。通過点にすぎない。本大会でどこまでやれるか。「2002年を超える戦いが見たい」が本音だろうし、それこそがジーコジャパンへの期待の原点であるはずだ。評価の分かれ目を数字で言えば本大会の16強になる。今回は開催国特権がないので、組み合わせは厳しくなる。前回と同じ数字を残すことは容易くないが、それでも「惜しくもベスト16を逃す」ぐらいでないと多くは納得しない。

 そこからフィードバックすれば、カザフやシンガポール、オマーンに勝っても、それで「結果が出た」というのはナンセンス。このサッカーで本大会ベスト16が狙えるのか。大切なのはここだが、初心者にこの視点を持てというのはもちろん無理な話だし、予選で一儲け企む商売人は、むしろ予選で大苦戦し、苦しんだ末に掴んだドラマ仕立ての突破を願ってやまないのかも知れない。僕も、その一人といえばそれまでなので、偉そうなことは言えないが、突破するか否かの視点だけでこの予選に臨んでは、学習効果のない哀れな人間と嘲笑されても致し方ない。

 予選突破を最大の関心事にするのか、一方で、その先を予測しつつ観戦に臨むのか。視点の使い分けこそが、ファンに課せられた今回のテーマだと思う。それくらいの余裕は十分ある。そうでなくてはならないはずの戦いだ。

ページトップ