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格闘技専門誌が変身?業界危機を転機として。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byTomoki Momozono

posted2007/06/28 00:00

格闘技専門誌が変身?業界危機を転機として。<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

 複数の専門誌が本屋に並ぶようになって21年、格闘技マスコミが大きな岐路に立たされている。先日、月2回刊の『格闘技通信』は編集長の交代とともに大幅にリニューアル。判型を大きくしただけではなく、コンテンツにもザックリとメスを入れた。6月8日発売号では技術解説の記事を中心に、23日発売号では読み物中心に構成するなど、号によってコンテンツを差別化する編集方針を打ち出したのだ。案の定、新装第一弾となった6月8日発売号をめくると、「これが格通?」と驚いてしまうほど、今までとはイメージが異なる。デザインが一新され、試合リポートに割くページ数が減少したせいだろうか。

 月刊『ゴング格闘技』は版元である日本スポーツ出版社の経営不振と代表取締役逮捕というダブルパンチに見舞われ、今春一時休刊に追い込まれた。しかしすぐに新たな版元を見つけ、4月23日発売号から『GONKAKU』(ゴンカク)として再スタートを切った。昨年も同誌は版元と編集部が対立。大半の編集スタッフが解雇され、3月発売号が発行されなかったという事件があった。どんな理由があるにせよ、これ以上、読者をやきもきさせるゴタゴタはたくさんだ。

 昨年まで一部で「PRIDEの機関誌」と陰口を叩かれるほどPRIDE関連の記事が充実していた『kamipro』もPRIDEの明日が見えない現在、軌道修正を余儀なくされている。最近再び純プロレス系の記事の比重が多くなってきたのはそのせいだろう。

 各誌とも独自色に溢れているが、共通項もある。いずれも試合リポートを中心に誌面を構成していないという点だ。一昔前まで専門誌から試合結果や最新情報を知るファンは意外に多かった。格闘技の場合、専門誌でしか報じられない大会や情報があまりにも多かったからだ。

 ところがネット社会になった現在、多くのファンはインターネットから情報を得ている。スピードという面で「紙」はネットに敵わない。よって試合リポートのニーズはネット媒体に移行してしまった格好だ。最近は格闘技を扱うフリーペーパーも出てきた。有料の専門誌媒体だからこそ伝えられるものは何なのか? 専門誌が産声をあげた時から付き合いのある筆者は自問自答する毎日である。

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