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欧州の端のディナモが取り入れた「最先端」とは。 

text by

杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

PROFILE

posted2004/11/18 00:00

 マスカットで行われたオマーン戦の6日後、僕はサンチャゴ・ベルナベウでチャンピオンズリーグを見た。銀河系軍団に挑むディナモ・キエフの布陣は“3バック”。これでは守りっぱなしになると、期待は一瞬冷めかけたが、ピッチに描かれた実際の図が、第一印象と違うことに気付くまで、そう時間は掛からなかった。

 ロナウドとオーウェンが同時に先発するチームと対戦した場合、日本代表ならば、オマーン戦の時と同様に、3バックで挑むに違いない。ディナモのサボー監督の敷いた布陣も、3バック、ウイングハーフ的な選手を両サイドに置いたことを見れば、日本と同じように感じられた。しかし、違ったのはその先である。

 ディナモの守備的MFは1枚。つまり、前には4人の選手が構えていた。この4人、攻撃的MFとFWが2―2で並べば、3―3―「2―2」というかつての韓国やドイツで見かけた布陣になる。しかし、ディナモの場合は、1トップと1トップ下。さらに、ウイングハーフ的な選手の前方に、より攻撃的なサイドアタッカーが両翼各1枚いたのだ。

 どこかで見たことがあるなぁというモヤモヤは、布陣を4列表記に整理してみると、解消した。3―3―「3―1」。アヤックススタイルなのである。後方2列目の両サイドが、よりワイドに開いて構えるので、サイド攻撃はよく利いた。というより、攻撃のほとんどがサイド攻撃。真ん中をあえて空け、タッチ際からボールを回し込むように攻め立てた。結果はマドリーの1―0ながら、チャンスの数ではディナモが勝った。続いて行われるリターン戦でも、マドリーは苦戦するだろう。

 バルセロナのオランダ人助監督、テン・カーテはこういう。「最近、“我々”に似た考え方のチームが目に付く。良い傾向だ」と。我々とはオランダのことで、考え方とはかつてのアヤックス式3バックを指すのだが、これを欧州の端に位置するウクライナのクラブが、バルサのライバルチームに対して用いた点に、今日的なムードの広がりも感じた。

 偶然“犯人”を探し当てたようなものである。そうした驚きにしばしば立ち会えるのが、欧州サッカーの、チャンピオンズリーグの魅力だ。つまり、僕はどこか探偵的な目で、欧州を駆けめぐっているというわけ。犯人探しはやめられない。

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