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日本テニスの等身大を体現する者たち。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2005/11/24 00:00

日本テニスの等身大を体現する者たち。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 11月6日に、第4回東アジア競技大会(マカオ)が幕を閉じた。東アジアの9つの国と地域が集い、日本は中国に次ぐ179個のメダルを獲得した。テニスは、若手強化の場と位置づけ、男女各4人、計8人の選手を派遣し、男子シングルスで松井俊英が、女子ダブルスで山本麻友美、米村知子組が銀メダル、女子シングルスの波形純理、男子ダブルスの松井、岩見亮組が銅メダルを獲得した。

 今回、2つのメダルを獲得した松井は、ジュニア時代はまったくの無名だった。'93年全国中学では初戦敗退。高校1年を終了してから、英語とテニスの勉強のためにカナダに留学した。大学は米ブリガムヤング大ハワイ校に進学し、テニス部に所属。4年の時にはチームNo.1として活躍した。卒業後に帰国しプロに転向。現在、松井は、日本男子として国内では5番手につけ、ベテランの鈴木貴男、本村剛一に次ぐ選手として将来を嘱望されるところまで成長した。

 女子で銅メダルを獲得した波形は、松井とは対照的に、'00年全日本ジュニア18歳以下優勝など、ジュニア時代はエリートコースを歩んだ。しかし、高校卒業後、プロにはならず早稲田大に進学する。現状で見れば、大学テニス部は世界への道筋として遠回りだ。それでも波形は、その道を選んだ。団体戦である全日本大学王座で母校を優勝に導き、インカレでは昨年、念願の優勝を果たした。今年、卒業と同時にプロに転向。昨年末から250位以上も世界ランクを上げ、大卒プロとして活躍している。

 日本の場合、他国とは違い、スポーツだけに集中できる社会環境は整っていない。海外のように、若年層からプロになり、失敗しても社会でマイナスにならない環境にはない。その中で、自らのテニス人生をどのように歩むのか。松井と波形が歩んだプロへの道は、ジュニア時代から活躍し、早々とプロに進まなければ世界につながらないという固定観念を打ち消してくれる。選択肢は広ければ広いほどいい。学生テニスから、そして海外の大学テニスで腕を磨くことから、世界的選手が生まれる道もあっていいはずだ。何も海外の模倣をするだけがプロへの道ではない。日本オリジナルの道を造ってこそ、真のテニス人生が開かれるのだと思う。

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