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日・米クラシック戦線で同時進行する夢物語。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

photograph byYoshihiro Fujioka

posted2004/06/03 00:00

日・米クラシック戦線で同時進行する夢物語。<Number Web> photograph by Yoshihiro Fujioka

 第130代のケンタッキーダービー馬の栄誉に輝いたのは、スマーティジョーンズ(J・サーヴィス厩舎、牡3歳、父イルーシヴクオリティ)という名のペンシルヴェニア州産馬。米国の馬産のほとんどは量も質もケンタッキー州に集中しており、ニューヨークからさほど遠くないペンシルヴェニア州は、有力バイヤーの目が届きにくい場所と言ってよかった。そんなところからでも凄い馬は出る、というのを証明したのが今年の米国のクラシック戦線。日本でいえば高知か荒尾あたりの小さな競馬場で連勝を重ねてきた安い馬が、エリートたちがひしめくJRAの頂点に立ってしまった形なのだ。

 MLB・フィリーズの本拠地として知られるフィラデルフィアに競馬場があることさえ、これまで多くの日本人は知らなかったはずだが、地元は大変な盛り上がりようで、クラシック2戦目のプリークネスSの追い切りに詰めかけたファンが5000人とも6000人とも。映画「シービスケット」以上に劇的な物語がいま現実に進行しているのだから、ドリームが大好きな米国人が熱狂しないはずがない。そして、2冠目のプリークネスSも、11馬身半という大差をつけて圧勝。デビュー以来の連勝を8に伸ばし、ライバルたちに「生まれた年が悪かった」と言わせているのだから、3冠達成はほぼ間違いない。 

 こんな米国の情勢を追い風にしたいのがコスモバルク(ホッカイドウ競馬・田部和則厩舎、牡3歳、父ザグレブ)だ。無名の牧場で、不人気種牡馬を父として生まれ、400万円という安値で買われ、存続さえも危ぶまれていたホッカイドウ競馬で頭角を現すという日本人好みの叩き上げ。それがいまやエリートたちと互角以上に渡り合う。日本でもドリームは着々と進行しているのだ。

 最大目標の日本ダービー(30日、芝2400m、G?)も、これまで通りに北海道静内町のビッグレッドファームで調教を積み、直前に東京競馬場に入厩して挑む普段着の競馬で臨む。皐月賞は負けて強しの2着惜敗。判官贔屓を割り引いて冷静に戦力分析をしてみても、今年の3歳牡馬で一番強いのはコスモバルクではないかと思える。米国の3冠目、ベルモントS(6月5日、ダート2400m、G?)とともに、夢の結末をとくと見極めたい。

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