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ミネソタの大黒柱、サンタナ故国の宝。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2004/10/21 00:00

ミネソタの大黒柱、サンタナ故国の宝。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 今シーズン、これほど打者を圧倒した投手はいない。最多勝には1勝届かなかったが、リーグ唯一の2点台の防御率をはじめ、奪三振(265)、対戦打者打率(・192)と、その力を示す記録はダントツ。特にオールスター後は無傷の13連勝、7月から3カ月連続で月間最優秀投手に選ばれた勢いでポストシーズンに突入した。

 「オフに左ヒジの軟骨除去手術をして出遅れてしまったが、5月の終わり頃には元に戻った。それがいい成績を残せた一番の要因かな」

 と、ヨハン・サンタナは生真面目な表情で語った。ベネズエラ出身だが、すぐにでも踊り出しそうな、いわゆるラテンのノリはない。

 むしろ、寡黙なタイプ。引きこまれるような澄んだ瞳が印象的な25歳である。

 95マイルのファストボール、80マイル台のスライダー、そして70マイル台の切れ味鋭いチェンジアップを巧みに投げ分ける。パワー投手でありながら、この若さで確かな技術を兼ね備える稀有な投手だ。

 「ブレイクの秘密? そんなものはないよ。一生懸命やっているだけ。ただ、ひとつ心掛けていることはある。それはいい投手が出てきたらじっくり見るようにしていること」

 澄んだ瞳は、鋭い観察眼でもあるのだ。

 「自分でも時々どこにいくかわからない」という変化の大きいチェンジアップは、そんな積み重ねから磨かれていったものだ。

 サイ・ヤング賞の最有力候補。現実のものとなれば、ベネズエラ人として初の快挙となる。ベネズエラといえば、過去に数多くの野手を生んできた。とりわけ、遊撃手は代表的なポジションだ。殿堂入りのルイス・アパリシオから、レッズ黄金時代のデーブ・コンセプシオン、さらにゴールド・グラブの常連オマー・ビスケル、注目株のシーザー・イズタリスまで、譜系のように続いている。

 「賞のことよりも、プレーオフを勝ち抜くこと。昨年も悔しい思いをしたからね」

 と、言葉に力がこもる。傍らには、密着取材をする母国のテレビクルーが張り付いている。

 ポストシーズンの結果がどうなろうとも、あるいはサイ・ヤング賞に選出されようがされまいが、サンタナが桁違いにビッグになったことは確実だ。かつてアパリシオが大きな影響を与えたように、サンタナによってベネズエラに新たな譜系が生まれるに違いない。

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