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賞金女王を大逆転で手にした古閑の強運。 

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三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

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posted2008/12/18 00:00

 11月30日、男女の賞金王が決まった。男子は片山晋呉が2年ぶりに5度目の賞金王に返り咲き、女子は賞金ランク3位の古閑美保が「世紀の大どんでん返し」で初の賞金女王に輝いた。

 最終戦のLPGAツアー選手権リコー杯を賞金ランク1位で迎えたのは韓国の李知姫だった。古閑との賞金差は約2200万円。古閑が逆転する条件は、優勝し、李が単独9位以下である。優勝だけでも難しいのに、李は今季の26試合で2勝、8位以内が15回という実力者だ。

 だが最終日、古閑の2組前でプレーした李は、初の賞金女王のプレッシャーに負けたのか、10位に終わる。これで、古閑の賞金女王は自らの優勝だけが条件になった。

 しかし、16番ホールを終えた時点で、古閑は首位を走る全美貞より4打遅れていた。そこで優勝よりも「2、3位狙い」の気持ちに切り替えて、あえて優勝へのプレッシャーを切り取った。それが功を奏して、17、18番連続バーディーを奪ってホールアウトする。

 最終組の18番ホールを前に、全が単独首位、1打差で不動裕理と古閑が続いた。プレーオフなしで古閑が優勝する条件は、全がダブルボギー、不動がボギーを叩かなければいけない。全は通算9勝、3週連続優勝の経験があるし、不動は6年連続賞金女王に輝いた実績の持ち主だ。ところが、全はバンカーに入れて、ダブルボギー。不動は入れれば優勝の1mのバーディーパットを外し、返しのパーパットもカップに蹴られた。

 まるで魅入られたように、古閑の優勝と賞金女王が決まった。本人が「今回は奇跡的な感じで、何か違う力が働いたとしか思えない」と語るように“古閑のための”大会だった。李は約120万円差の賞金ランク2位、今大会であと1打少なかったら賞金女王だった。

 今季の女子は、圧倒的な強さの選手がツアーを引っ張るのではなく、週替わりで勝者が変わる混戦だった。そんな今シーズンを象徴するような最終戦だったと思う。ようやく古閑が4勝目を挙げて女王になったけれど、言いかえれば、実力差がない戦国時代。「もっと練習して、運が味方しなくても勝てるようにしたい」と本人も自覚するように、古閑には圧倒的な強さを持つ選手に育って欲しい。

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