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23年目の原点。清原和博の真髄とは。 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2008/08/27 00:00

 8月3日の京セラドームは沸いた。ペナントレースの後半戦のスタートの日、清原和博が一軍に695日ぶりに戻ってきた。前日、「こんな状態で打席に立つのは無理」と今季限りの引退を示唆し、巨人好きの祖父の墓参りをした時、両親に報告を済ませたという。

 「面と向かってはいえないから、おカァを背負って、そこで言うた」とは、いかにも清原らしい言い方である。

 復帰1戦目の打席は空振り三振に終わったが大きな拍手が起きた。「頭の中が真っ白になった」と言ったが、その言葉を聞くのは2度目であった。

 1度目は巨人と初めて日本シリーズを行った'87年の最後の守りについた時。大粒の涙を流し始めた時のことである。

 その理由を直接聞くと「ツーアウトになって、王監督が三塁ベンチで天を仰いだ。一塁だから正面に見えるのや。それを見た時、巨人に勝ったと思ったら頭がまっ白になった」と説明した後、「恥ずかしいから書かんといてな」と照れくさそうに付け加えた。

 あれから21年。プロ最後の打席と覚悟を決めた時、頭がまっ白になったと再び言った。

 一塁ベンチから打席に向う時、三塁ベンチで指揮するソフトバンク・王貞治監督に会釈している。この時、拍手で王は清原をたたえた。その姿に21年前を思い出して、頭がまっ白になったのではないだろうか。

 ソフトバンク、ロッテ戦では、代打で7回に出番が回ってきた。清原がセンター前ヒットを放った2戦目はもちろん、不思議と7回に得点をするケースが増えてきている。芝居がかったシチュエーションの好きな清原とすれば「7回は俺」と決めて、最後の1年を考えているのかもしれない。

 クライマックスシリーズ進出に望みをつなぐオリックスにとって、戦力として必要不可欠だからこその一軍入り。

 『代行』の取れた大石大二郎監督は「復帰2打席目のセンター返しはベテランの味。キヨがでてくることで盛り上がるムードを大切にしたい」と語った。

 西武ライオンズに入団した時、清原は「センター返しこそ打撃の真髄」と言っていた。プロ入り23年目の今、その原点を見ているような気がした。

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